書かせていただく気持ち

ヱスケーが何か書きます

ラジオ寄りの雑談『話をさせていただく気持ち』を録りました


CM 『話をさせていただく気持ち』ヱスケーとシロシビンズ

 

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 シロシビンズとラジオ寄りの雑談を収録しました。

50分くらいあるので流し聞き必須

一応DLできるけどする人はいないであろう。

 

先日リリースした『いいことはいつか終わる』について、曲を作り始めたきっかけ、どういう風に作るか、どの部分から作るかとか音楽の聞き方、最近聞いてる音楽、ライブの話、過去作品、嫌いなラッパー、いつもお世話になっているシャンティブックスの話など細かい話題多数

soundcloud.com

▶︎DL(MediaFire) 話をさせていただく気持ち (mp3/320kbps/50分)

 

話題

00:10 自己紹介

00:30 『いいことはいつか終わる』について

01:04 シャンティブックスとは

02:35 フルアルバム、ミニアルバムの基準とは

03:50 曲はどんどん短くなってる

05:20 BGMとして長い曲を聞く

05:50 音楽によって効き方が違う

07:15 自分の作る曲の長さ

08:14 ヱスケーがギターで作ったアルバム

09:15 長い曲は聞かない?

10:30 ストリーミング再生

11:13 ヱスケーがトラックを作ろうと思ったきっかけ

14:25 トラックはどこから作るか 

17:30 『尊ぶ』

18:14 老化との闘い 宅録だから成立すること

18:50 ヱスケーのライブ経験

20:50 旭川で唯一自分が呼ばれたライブ

21:45 シロシビンズのバッグは重い

22:40 お酒が飲めた頃

23:38 東京でのライブ

25:00 ミックスについて

25:42 オートチューン多いよね

27:28 シンセってどうしてる?

30:06 久しぶりってならない(久しぶりって言っちゃってるけど)

31:00 シャンティブックスに初めていった

32:55 シャンティブックスのたまりさん

33:50 タブラを持って歩くシロシビンズ(インド帰り)

35:05 東京 バサラブックス オオヤヨシツグ

36:45 シロシビンズはたまりさんの第一夫人

37:10 ヱスケーはもうギターは使えない?

39:55 バンドって聞く?

40:46 ジャケットでどんな曲かわかる

42:40 人間椅子

44:05 いただく気持ち

44:48 曲を聞く時どの要素に注目するか

46:20 ヱスケーの嫌いなラッパー

46:55 わざと臭いのはダメ

48:15 メガネのネットリリースパーティーでの関西弁

48:55 録音あるある

50:00 おしまい

 

BGM
00:07 Next Year and Next Mind / シロシビンズ
04:34 ひとりぼっちの水族館(inst) / ヱスケー
07:01いい感じ feat. mukuchi(inst) / ヱスケー
10:48 エコーズ・アフリカ / シロシビンズ
13:37 African Fire/ シロシビンズ
17:06 シミュレーション feat. diz(inst) / ヱスケー
19:28 おばけとデート(inst) / MC松島 & ヱスケー
24:18 まんねん feat. diz(inst) / ヱスケー
27:25 ひやけ(未発表曲:inst) / ヱスケー
30:45 WE ARE IDIOTS / シロシビンズ
34:29 Drive To 2019/ シロシビンズ
42:19 逃げろ! (WhaleBeats Remix)inst / ヱスケー
46:30 帰り道(ヱスケーRemix) inst / ヱスケー

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狭い空間で自作楽器を叩くシロシビンズ

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狭い空間で自作楽器を叩き続けるシロシビンズ

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シロシビンズの自作楽器 7月の札幌のライブでも使用するらしい

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モザイクの中で何かをしている風のヱスケー

 待ち合わせの時本当にこんな感じだった

 

 

シロシビンズ
北海道の音楽家、タブラ奏者。
2010年にバンドとして活動開始。現在はバンド名「シロシビンズ」を個人名にしイラストや漫画、デザインまでその全てを独自のセンスで制作。様々なジャンルに精通し唯一無二の作品を作り続けている。ヱスケーとは大学時代にtamadrowを通じて知り合い 以来度々活動を共にする。休止していた音楽活動を再開させアルバム『無意識ノイズ』を完成させた
7月18日に札幌 スピリチュアルラウンジでライブを行う

 

 
ヱスケー
2010年5月31日に地元の友人mgmとK.H.BROTHERSを結成。現在はdiz、メガネが加入し4人での活動に
2017年4月1日 MC松島主宰の音楽レーベル トウキョウトガリネズミに加入。今年5月にミニアルバム『いいことは全て終わる』をリリースした。

ミニアルバム『 #いいことはいつか終わる 』と最近のこと

最近のヱスケー

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからこの映像に続きます

(婆ちゃんの家でお母さんに撮って貰ったサムネイル)


CM #いいことはいつか終わる

 

Twitterのまとめ

twitter.com

 

入院前にほぼ完成していたミニアルバム『いいことはいつか終わる』をリリースした

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『いいことはいつか終わる』
8曲 / 21分 / ¥450(一曲¥200)
Bandcamp,iTunes,AppleMUSIC,Spotify
プロデュース ヱスケー
マスタリング 6000(Tokyo Lovedolls)
レーベル Tokyo Togari Nezumi
 

#1『知らない道を歩く』(再録)
#2『君は幸せそうに笑う』(再録)

#3『やる気しないね、今日も』

#4『ひとりぼっちの水族館』

#5『シミュレーション feat. diz』

#6『いいことはいつか終わる』

#7『車内で録る feat. MGM』
#8『終わらないでよ』

#1-#8 beat : ヱスケー
#1-#2,#4,#6-#8 lyric & rap : ヱスケー
#3 lyric : ヱスケー
#3,#5 chorus : ヱスケー
#3 vocal : yf
#5 lyric & rap : diz (Tokyo Togari Nezumi)
#7 lyric & rap(1bars) : MGM (K.H.BROTHERS)

 
なんと無料で全曲試聴できます

ヱスケーに投資してくださる方はBandcampからお願いします

▶︎ Bandcamp

▶︎ iTunes

▶︎ AppleMUSIC

▶︎ Spotify 

 

アクセスフラッシュしている俺が目印です

子供の頃 リアルタイムで実写版のグリッドマンを見ていて音が鳴る人形とか持っていたんだけど同級生に話しても誰一人として覚えていなかった…アニメのグリッドマンで再燃して曲を作る前からこのジャケットにすると決めていた。最早グリッドマンアラームの音声を聞いてニヤニヤするだけのおじさんになってしまったのだ

 

先にYouTubeに出していたもので良くなりそうな曲は録り直した。

前作の『気持ちをちぎって捨てたくなる』は「4-5年の感情のまとめ」という感じだったけど今回は直近の一年の気持ちなのであまりタイムラグがない。 

 

前回がっつりアルバムを作ったので今回はなるべく小さくまとめようという気持ちがあって全曲3分以内(最後だけ少し出たけど)にした。

どんどん曲が短くなっていってる流れがあるというのもそうなんだけど曲の長さは2分40秒くらいがベストだと思っていて、3分以上あると長いし、なんというか年々集中力がなくなっていてよっぽどのものじゃないとテレビ番組も5分も見続けられないし、そういうのって自分だけじゃないのかもなと感じていたのでサクッと終われる感じにした

 

今回からコンデンサーマイクを使ってる(7曲目以外)んだけど思っていた以上に細かいアレコレが録れるのでやりやすくなった。少しだけ理想に近づいた気がする

以下少し解説

 
01. 『知らない道を歩く』
10数年ぶりに再会した友達が言った「曲がったことのない角を曲がってみたい」という言葉をもとに作った。それと最近よく思うことを書いた。
映像では一人でいろいろ見て歩いて楽しかった。YouTubeに載せているものを録り直し
 
 
02. 『君は幸せそうに笑う』
こういう瞬間がよくある人生だった。『気持ちをちぎって捨てたくなる』のCD特典では別バージョン収録
録り直しで良くなった。YouTubeに載せてるものからビートも少しいじってる
 
 
03.『やる気しないね、今日も』
ボカロっぽい曲が作りたかった。同じコードでどこまで転調できるのか試しつつ
こういうのって彼女とかを使うとかっこいいんだろうけど友達の嫁さんに頼んだ
俺が録ったデモをおまけでつけようかと思ったんだけど完成品の方が全然いいのでやめた
 
 
04.『ひとりぼっちの水族館』
もうどこに行くのにも一人で行くしかなくてそういう時はいろいろ考えるし思い出す
生まれ育った町を離れなくてはならないことやネズミ講に勧誘してきた同級生が「俺は金持ちになる」って言ったこととかね
 
 
05.『シミュレーション feat. diz』
自分でラップしようとして歌詞も書いてたけどdizの方が合いそうだから俺が書いたものを元に広げてもらった。このくらいのテンションがすごくいい。展開も気に入ってるし。
 
06.『いいことはいつか終わる』
Twitterスヌーピーbotが『いいことはすべていつか終わる』とツイートしていていいな。と
『すべて』と言い切りたくなかったから省略。アルバムを作る時は基本タイトル→ジャケット→内容という順に決めていく。LIBRO氏の『てん』の真似をしたかったんだけどどうだろ
 
 
07.『車内で録る feat. MGM』
地元の友達と会った時に没トラックでノリで作った曲。編集で原型がなくなった
意外と出来が良いしMGMのラップを聞くと俺は楽しくなる。YouTubeにあげたものを少し修正
この頃は二人とも実家に住んでたんだなあと聞きながら思った
 
 
08.『終わらないでよ』
禿げたくないよね…という曲。最初のタイトルは『Your ID』で「君は俺の知らないアカウントを持っていてその世界を知ることはない」みたいな曲にしようと思ってたが禿げたくない気持ちが強くなった。冒頭にアニメのセリフをサンプリングしてたけどやめた
 
 

 最後に少し最近のことを

 いろいろあって家を出ることになり30過ぎて初めて一人で暮らしてる。

入院する前に引っ越しが決まっていたのでマジで勘弁してくれという感じだったんだけど案外なんとかなっている。去年車の買い替えで適当に決めてしまってやっぱり納得いかなくて一ヶ月で二台買ったりして(自分でも意味がわからない)しんどかったので慎重に選んだ。録音できるかどうかが死活問題なのでそこ基準で選んでそこそこ広い部屋でぼーっと過ごしてる

 

少し前に同級生3人とその家族で集まっているところになぜか呼ばれて焼肉を食べてきたんだけど女性も子供も苦手なので無心で肉を焼いて食べた

俺以外の三人は結婚していて子供もいて持ち家で、なんだか別の世界の出来事みたいだなと思ってそれが羨ましいとか寂しいでもなくやっぱり俺とは違うんだなと思って帰ってきた。親や社会の人はやたらと結婚しろなどというけれど自分のことだけで精一杯な人間が人並みに背負っても破綻するのが目に見えている

 

 漫画を描いてる友達と電話をして「絵の女はおっぱいがデカすぎる」とブチ切れたりして楽しかった。お前は山本直樹の描く女の子が好きなはずと勧められたけどまだ漫画は読んでいない

 

あとMen I Trustとても良いですね


Men I Trust - Numb

ヱスケー2018年活動報告と年間ベスト、新曲など

最近モンスターファーム2にハマっています。

プレステ買い直したし。いいでしょ


シミュレーション feat. diz[prod. by ヱスケー]

 

自分用にビート作ってたけどdizの方がうまくやってくれるだろうという事で仮の歌詞と既に作ってた映像送って数回のやりとりで完成。

感覚がわかっている周りの人とサクッと作れるのがとても良い。

サムネイルの構図が車内で録ると同じだなあ

 

 

2018年はアルバム関連のことばかりだったので他に何か作った記憶があまりない

初めて個人名義で正式なリリースをしたんだけどiTunes,AppleMUSIC,CDで出したのもあって今までよりも人に届いた実感があった。Remixも出したし

こういうのって人脈があってコネがあって人と接するのが上手い人じゃなきゃ無理なんだと思ってた

iTunesのランキングに自分のアルバムが入っていたり、レビューしてくれる人がいたり、タワレコシャンティブックスバサラブックスにもCDを置いてもらったりとか。色々あった。

 

あとCDジャーナルのレビューがなんかウケた

 

ラップ・グループK.H.BROTHERSのヱスケーによる、聴いている人間のハートを突く哲学的な一枚。シックで影のあるトラックに、深層心理をえぐるような鋭いリリック。自然と身体にスッと沁み込む質の高いサウンドにより、不思議と音楽を超越した表現の在り方を想起させる作品。

artist.cdjournal.com

直接感想を言ってくれた人が割と居たんだけど、どうもコミュニケーションが苦手で変な感じになってたら申し訳ない

以前は褒められると反射的に自己否定をしてしまっていたんだけど最近はようやく素直に受け入れられるようになって そこだけでも成長できてよかった(と思ってくれ)

 

日常生活

・色々あって車を二回買い換えたのがしんどかった。

・4台目にしてようやく好きな車を買ったので異常な愛着が湧いた

・台風も地震も来て(いまだに余震くるし)数日とはいえ被災、死ぬかと思った

・一人で行けるところが増えた(遊園地、水族館、博物館、映画館、落語、お笑いライブなど)

・髪型というものに飽きて坊主にしたり角刈りにしたり毛が薄くなったり

・20数年ぶりに同級生と遊んだ

・地デジになってから持っていなかったテレビを買った

アマゾンプライムいいですね

・恥ずかしいから言ってなかったけどポケモンGOずっとやってる

・探してたゲーム見つけたけど高すぎて泣いた

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他の人に当てはまるのかはわからないけど実感したこと

・フリーで出しても意味ない

サウンドクラウドで出しても意味ない

YouTubeに曲がないと聞かない

YouTubeの字幕設定で歌詞を打ち込むまでが最低限

・みんなサブスクやってる

・意外とCDで欲しい人もいる

・CD出した人がみんなリリースライブをやるわけではない

 

 

思い出せる限り2018年に作ったもの、やったこと

  1. 01/02 まんねん feat. diz / ヱスケー - YouTube

  2. 01/06 ヱスケー × シロシビンズ『気持ちをちぎって捨てたくなる』を語る
  3. 01/07 『気持ちをちぎって捨てたくなる』デジタル配信
  4. 01/14 家がいい feat. K.H.BROTHERS / ヱスケー - YouTube
  5. 01/21 30分で作るKHB | K.H.BROTHERS
    【30分で作るKHB】チープカシオ - YouTube
  6. 01/21 がっかりくん | K.H.BROTHERS
  7. 02/12 2018.02.04 ヱスケー スタジオライブ feat. シロシビンズ #気持ちをちぎって捨てたくなる - YouTube
  8. 03/04 春ねむり 『 #夜を泳いでたREMIX 』 by ヱスケー - YouTube
  9. 03/18 君は幸せそうに笑う prod. by ヱスケー - YouTube
  10. 05/06 【VLOG】K.H.BROTHERS - まん旅 @日間賀島 - YouTube
  11. 08/23 30歳の自由研究 シロシビンズ『無意識ノイズ』について(逆襲のインタビュー)
  12. 09/13 『気持ちをちぎって捨てたくなる(Remix)』
  13. 09/15 3まんねん (pro.ヱスケー&diz) | Terminal Explosion
  14. 09/23 逃げろ! feat. ここせまみ & オオヤヨシツグ (WB Remix) / ヱスケー - YouTube
  15. 10/01 diz『僕が死ぬ前に』 prod. by ヱスケー - YouTube

  16. 10/10 『気持ちをちぎって捨てたくなる』CD発売
  17. 10/10 CD特典『君は幸せそうに笑うEP』
  18. 10/21 『帰り道は遠回りしたくなる』
  19. 10/27 ヱスケーweb ひっそりと開設
  20. 11/03 『気持ちをちぎって捨てたくなりまんねん』
  21. 11/25 車内で録る feat. MGM [prod. by ヱスケー] - YouTube
  22. 12/16 『Season』MC松島 feat. 晋平太 [ヱスケーRemix] - YouTube

早めに計画して動かないとあっという間に一年が終わると思っていたので意識的に動いたけど思ったよりやってた

 

 

あまり音楽聞かない人の年間ベスト

2018年好きだった曲(順不同)

  1. MONDO GROSSO / One Temperature - YouTube

  2. ‫| راب قيادة المرأه | كليب اغنية سقنا 10/10 | تحسبني امزح | #حجت_البقرة_على_قرونها | Leesa‬ - YouTube

  3. Antabus - Napoleon Komplex - YouTube

  4. キズナアイちゃんの声をひたすらサンプリングして歌わせてみた(フル) “Kizuna AI to AI" / Kizuna Ai Voice Sampling Song - YouTube

  5. MC松島 - EVERYDAY PEOPLE (pro. ゼネラルド絶大) - YouTube

  6. 久保田利伸 『So Beautiful』Short Ver. - YouTube

  7. Sen Morimoto - People Watching (Official Music Video) - YouTube

  8. 電影少女第7話ED「ふめつのこころ」(西野七瀬:天野アイver) - YouTube

  9. 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない EDテーマ「不可思議のカルテ」梓川かえでソロVer. - YouTube

  10. [Official Video] デフチン / Def Of Auto-Tune - YouTube

 

2018年好きだったまとまった音源

  1. Biig Piig - Big Fan of the Sesh, Vol.1 -EP 

Biig PiigにどハマりしてiTunesにある音源全て買った

youtu.be

 

2018年好きだったインスタ(順不同)

 

あと割と衝撃的だったのがボーエンのTik Tok

かっこいい人がやればTik Tokすらかっこよくなるのね

 

おわり

 

 

『気持ちをちぎって捨てたくなる』CDのリリースと紹介文に書かれた『チャックD』について

滅び行くメディア、CDでアルバムをリリースしました

 

ヱスケー

気持ちをちぎって捨てたくなる

CD ¥540 Tokyo Togari Nezumi

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収録曲
1. intro 
2. 飲み会は早めに帰る 
3. いい感じ feat mukuchi 
4. 天気のいい日は昼寝に限る 
5. まんねん feat. diz 
6. 気持ちをちぎって捨てたくなる 
7. 僕はまたこんなことを言う feat. シロシビンズ 
8. 逃げろ! feat ここせまみ & オオヤヨシツグ 
9. 家がいい feat. K.H.BROTHERS 
10. 帰り道 
11. 辻褄 (6000remix) 
12. いい感じ (tamadrow remix)

+5曲入り特典EP『君は幸せそうに笑う』

 

「12曲で540円は安すぎる」と人に会うたびに言われたけど今までフリーで曲を公開してきた人間からすれば540円の値上がりは相当なものに感じる。

だって普段の生活で540円も値上がりしたものって買わないでしょ普通

もちろん内容的にも音質的にも今までで一番良いし、値段をつけるに値するモノがようやく作れた。それでも個人的には「高額だなあ」と思ってしまう。

 

地元の友達と「いきなりCD作って配ったらウケない?」って感じで始めた活動だけどまさか本当にCDを出すことになるとは思わなかった。

それもかれこれ8年くらい続いていてライブもやらない、家すら出ない田舎の三十路の男のCDが東京で売れてるのを目にするとマジで「ウケる」ことになってきたなと

 

音楽で稼ごうって気持ちはなくて、まあ儲かればそれはそれで嬉しいんだろうけど別に生活に困って切羽詰まってるわけでもないし音楽なんて全部タダで良いだろとも思うんだけど、どこかで「タダだから」って言い訳にしてる気がしたし金を出す価値のあるものを作りたいと思った。そんなことを考えたのも割と最近。せっかくレーベルに入ったしこの環境でできることは全部やっておいたほうがいいなってくらいの話なんだけど

 

値段の壁で人に届かないのは勿体ないし聞いてもらうのが目的だし俺が全く知らないアーティストのCDに払うのって最大でも500円くらいだなって所の値段設定。

完全に個人でやるならもっと安くしていたと思うけどたぶん現状これが限界だと思う

 

そういえば昔ライブハウスで知らないバンドの人がCD-Rを3000円で売っていてドン引きしてしまったことがあるんだけど、3000円って相当好きな人でも買うのやめるなと思ったしスケベ心が透けて見えてしまって無理だった

 

『気持ちをちぎって捨てたくなる』

個人的には大人の人に気に入ってもらえているのが嬉しい。

親に聞かせても恥ずかしくないもの、理解できるものを作るってテーマがずっとあってそれが少しずつ実現されてきたように感じる

 

随分前置きが長くなってしまったんだけど今回は少し説明したいことがあって書いた。松島さんが書いてくれたCDの紹介文についてなんだけども 

 

あのパブリックエナミーのチャックDもシャウトアウトを送った、日本を代表するラップグループと言えなくもないK.H.BROTHERS(靴下はかない兄弟)の超リーダーであり北海道最高峰ベッドルームラッパーのヱスケーが遂にフィジカル作品をドロップ!CD不況が終わるかもしれない!

どうも。MC松島です。友人がCDを出すっていうので文章を書く事になりました。僕がヱスケーくんについて書くときは必ずチャックDの名前を出すようにしてるんです。宣伝っていうのも勿論あるんですが、単純に友人として彼らがチャックDと関わりがあるのが嬉しくってです。今の若い子はチャックDって言われても分からないんだろうな~。それはさておき、ヱスケーくんはとても優れたミュージシャンだと思うし、心の優しい男です。以前に僕も一緒に作品を作ったから分かります。ミュージシャンの素質ってカリスマ性とかアイデアとかそういう派手なものもあるけど、最終的には決断力だと思うんです。ヱスケーくんの作品からは決断までの紆余曲折を感じる事ができて僕は好きです。500円だし絶対全員買った方がいいと思います。むしろ買わない理由があれば個人的に聞きたいくらいです。

 

とまあ色々書いてくれてるんだけど

『あのパブリックエナミーのチャックDもシャウトアウトを送った、日本を代表するラップグループと言えなくもないK.H.BROTHERS(靴下はかない兄弟)』

という部分、知らない人は冗談だと思うかもしれないんだけど実際にあったことなんだよ

 

もう3年前らしい。

俺の主宰する(ってほどじゃないけど)K.H.BROTHERSのグループアカウントに@が飛んできた。

チャックDがメインパーソナリティを務めるラジオの中のコーナー『PEPR』で作った曲が紹介されたんだけど、番組冒頭でチャックDが「K.H.BROTHERS」って言ってるの。

なんか「日本にもイキのイイ奴らがいるぜ」的なことを言ってるらしい

アーカイブはもう消えてるんだけど俺が記念に保存してたやつ載せときます

 

これがチャックDが「K.H.BROTHERS」と言った瞬間

soundcloud.com

 

そして曲紹介。片言の日本語に興奮

soundcloud.com

 

 

もうアーカイブは消えちゃってるんだけども 

 当時のページはこんな感じ

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短い期間で二回紹介されていて、あまりないことらしい

 

 

チャックDのラジオで紹介されたこと」が紹介されていたのでやっぱり凄いことなんだなと

 

 とまあこんな感じでチャックDにシャウトされたというのは事実

もう仲間内ではチャックDがネタになってるんだけどこれは思い返しても相当な出来事だった。紹介された『何か忘れてる』って曲は作り直して公開するのは二回目だった

あのタイミングで作り直さなかったらこうならなかったと思うと感慨深い。

そもそも俺がやってるK.H.BROTHERSの曲は殆ど聞かれていないんだけど数人の中の一人がチャックDってどういう状況なのか。

だから1再生を甘く見ないし"どれだけ聞かれているか"より"誰に聞かれているか"だと思う。これは本当に

 

この時のことはcola_drunkにインタビューされた時に話してるので暇な人はどうぞ

FREEDL形式のインタビューって見たことないな

 

[PDF]

cola_drunk interview

vol.1 ヱスケー(K.H.BROTHERS)

http://xfs.jp/T3Xyd 

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 CDのパッケージデザインも全部自分でやったんだけど帯にQRコード貼っつけて歌詞やら参加者の情報を買う前に見れるようにしたので気になれば見てみて。

このアルバムはデータで先に出してるのでCDには特典を付けないとなと思いEPを制作

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よく店ごとに特典違うっていうの見かけるけど俺はそういうの嫌だなと思ってどこで買っても同じ特典を付けれるようにDLコードをCD外したところに書いた。

友達二人に参加してもらった。どちらもサクッと作ったけど気に入ってる曲

 

この時のこととか 

 この時のことを歌った

 これは元々だけどツイートしたことを元に曲を作ることが多い

自分が体験したことしか歌えないから何もないと何も作れない

 

最後にCDの取り扱い情報まとめて終わりますウッス 

 店頭にはかなり限られたところにしか置いていないので通販も活用いただきたい

取り扱っていない店舗では取り寄せしてもらうのが一番ありがたいんだけど時間もかかるっぽいし通販が吉。札幌のシャンティブックスと吉祥寺のバサラブックスでは届いて欲しい層に届きそうなのでCDを置いてもらえていることが嬉しい。

タワーレコードとかTSUTAYAの棚にフォトショで自分のCD合成したりして遊んでたんだけど今や普通に置いてあるのすごい

 

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東京

タワーレコード渋谷店

タワーレコード新宿店

吉祥寺 バサラブックス

 

 

バサラブックス 

180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町1丁目-5-2 吉祥寺サウスビル101

営業時間 13:00-23:30 月曜日定休(月曜日が祝日の際は、翌火曜日がお休みになります。)

http://basarabook.blog.shinobi.jp

ありがたいことに連日店内で流してくれたみたい。在庫残りわずからしいのでお早めに。また東京行った時に追加で置いてもらおうかと思ってるけどいつになるかわからないので   売り切れとのことで在庫追加しました(2018/11/08)

 

北海道

タワーレコード札幌ピヴォ店(売り切れ)←入荷されるのかは不明

シャンティブックス

  

 shanti books シャンティブックス
北海道札幌市東区北18条東1丁目5-1

大体14時〜19時頃まで営業している模様。

http://shantibooks.ocnk.net

 

通販

FILE RECORDS

TROOP RECORDS

WENOD

この三社は在庫無くなっても追加される(だろうと思っている…)

 

他にCD置いていただけるところあれば

kikuchiescape@gmail.comまでお願いします。

 

アルバムの内容に関してはこちらで死ぬほど語ってる

kikuchisk.hatenadiary.jp

 

 

それと最近dezao氏のツイートを受けてこんなのを作った。

何かを見てヱスケーっぽいってなるの面白い

 

 

 『帰り道は遠回りしたくなる』

FREEDL] https://www.mediafire.com/download/m4990ti6fgztn83 …

自分の曲同士のマッシュアップ 帰り道 × とおまわり

 

 

 

 西野七瀬さん可愛すぎるでしょ…

 

 

 

 

気持ちをちぎって捨てたくなるRemixと最近のこと

 

 

監督・撮影・編集 cola_drunk

 

 

『気持ちをちぎって捨てたくなるRemix』

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   open.spotify.com

 

01. intro feat. aaaMin J

02. 飲み会は早めに帰る(Koedawg Remix)

03.いい感じ feat. mukuchi(uccelli Remix)

04. 天気の良い日は昼寝に限る feat. りえちゅっちゅ

05. 2まんねん feat. SHIMPEI

06. 気持ちをちぎって捨てたくなる。俺も。(ヤブコウヘイ Remix)

07. 僕はまたこんなことを言う feat. シロシビンズ(cuepeedog Remix)

08. 逃げろ! feat. ここせまみ & オオヤヨシツグ(WB Remix)

09. 家がいい feat. K.H.BROTHERS(Kotetsu Remix)

10. 帰り道(ヱスケー Remix)

 

マスタリング 6000 (Tokyo Lovedolls)

 

9月13日にリリース予定だったんだけど台風が来たり地震が来たりシステムトラブルがあったりで一週間の遅れが出て出鼻を挫かれた感が否めないけど とりあえず出すことができて良かった。

 

前作、というかこれのオリジナル版のデータ配信が1月にあって(詳しくはこちら) 

kikuchisk.hatenadiary.jp

その後すぐに動き出して制作期間は大体半年くらい。

音楽っぽいものを作り始めてから「なるべく全部自分で」というテーマがあって特に音に関しては人に頼むということを殆どしてこなかったんだけど ここ数年で気になる人がどんどん増えていってその人たちを誘う機会を伺っていた

 

ポンポン新しい曲を作るのもいいんだけどその分古くなるのも早いし作った曲を使い捨てにしたくなかった。(椎名林檎が昔の曲をアレンジ変えたりして歌い続けているのかっこいいし)

別バージョンがあれば原曲の消費期限も少し伸びると思っていて それにはリミックスアルバムが最適だなと

 

 2月ごろに東京でKoedawgくんのライブを見たときに少し話して5~6年前くらいに「一緒に曲作ろう」と言って頓挫したのを覚えていてくれたのがなんか嬉しくて、それがきっかけでどんどん決まっていった。

 

今までの曲とは全くの別物にしたかったので関わったことのない人たちに声をかけるには絶好のタイミングだった。理想の打順を組むような感じで誰にどの曲を頼むか考えつつニヤニヤした

 

単純に「自分なら間違いなく買う」ものを作っ(てもらっ)た。

現段階で自分でも納得のいくアルバムができてCDを出すことも決まったから、そのご褒美じゃないけど好きな人に自分の曲を作ってもらうという最高の贅沢をした。

雰囲気とか方向性はほぼ狙い通りだったけどそれぞれの解釈がそれに上乗せされて期待以上のものに仕上がった。全曲ボーナストラック(?)。その中で自分のリミックスを最後に持ってきたのはちょっとした決意の表れだったりする

 

加えて言うならこの人達がどうやって作ってるのか知りたかったから半分は勉強させていただく気持ちで依頼した

あとはキングギドラの最新兵器くらい豪華なものを作るっていうテーマも

 

今回はダイジェスト作ってないので悪しからず

 

 Twitterではモーメントにまとめ作って随時更新してます

twitter.com

 

 

10月10日(あと二週間)に『気持ちをちぎって捨てたくなる』の流通盤が出るのでそちらと合わせて聞いて欲しい。合わせても1000円でお釣りが出るよ(Remix ¥450+CD¥540)。ちなみに予約とかどこで買ったとか関係なしに特典が付く

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『気持ちをちぎって捨てたくなる』流通盤予約・購入

ヱスケー/気持ちをちぎって捨てたくなる - TOWER RECORDS ONLINE

ヱスケー / 気持ちをちぎって捨てたくなる | diskunion.net HIPHOP / 日本語RAP ONLINE SHOP

気持ちをちぎって捨てたくなる : ヱスケー | HMV&BOOKS online - TTNCD-14

WENOD RECORDS : ヱスケー - 気持ちをちぎって捨てたくなる [CD] Tokyo Togari Nezumi (2018)

 

これに関しては流通盤が出たタイミングでまた何か書きます(たぶん) 

 

 

 

少し最近のことを

 

ようやく地震も落ち着いて生活が戻ってきた

台風の直後という最悪なタイミングだった。結果的に助かったけど「これは死んだな」と思った。数秒だけどガツンとバカみたいな余震が何度も来て、たった二日で済んだけど停電、断水、ガスもネットも止まって街灯も信号もない暗闇の中をバイクで暴走してるやつとか暗闇に便乗して痴漢が出たりスーパーの臨時販売で長蛇の列とかとにかくマトモじゃなかった

俺の住んでいるところはたまたま地割れも建物の被害もなかったけどほんの少し離れただけで引くほど被害があって広範囲で通行止だったり他人事ではなかった。登別の友達は避難所行ってたらしいし。地震の一週間前に遊びに行ってたのが信じられない。

考えを改めさせられた。貴重品は常にまとめておくべきだし風呂にお湯を残しておくとかそういう習慣も大事らしい

酷いところは復旧まだまだっぽいけどとりあえずは自分の生活をやっていくことだなと思う。

 

 

その他

Hanna Chan (陳漢娜) が可愛すぎる

・エロ漫画家の『きい(Key)』が好き

・老化がすごい

 

 

 

 

 

 

30歳の自由研究 シロシビンズ『無意識ノイズ』について(逆襲のインタビュー)

30歳の夏休み、このアルバムをテーマに自由研究を行いました。

 

2018 アルカロイド・レーベル

シロシビンズ

『無意識ノイズ』

(ジャンルはエレクトロとの表記だがNew Waveが正式)

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02:38 01. エカシ・オンカミ
03:50 02. EVOLさん
02:50 03. PITFALL HUMAN LIFE
03:24 04. フェノミナップ
04:13 05. ラッキーストライクミーンズファインタバコ
02:54 06. POINT STONE
07:32 07. いただきをめざして
04:32 08. LAST YOUR HERE
03:27 09. キュートパンク
04:30 10. 無意識ノイズ
04:10 11. みかたのてきのみかた
06:48 12. ネロリの丘
 

Spotify

▶︎無意識ノイズ by シロシビンズ on Spotify

Apple MUSIC 

▶︎https://itunes.apple.com/jp/album/%E7%84%A1%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BA/1425371457?app=music

iTunes (DL ¥900)

▶︎シロシビンズの「無意識ノイズ」をiTunesで

amazon(DL ¥900)

▶︎https://www.amazon.co.jp/dp/B07GCH53ZW/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_KpdDBb4RZ3ZM4

※その他ほぼすべての配信サイトで購入可能

※リンクは最後にも掲載しています

 

僕の友人であり師匠(と思っている)シロシビンズという男が久しぶりに音楽活動を再開し製作したアルバム『無意識ノイズ』がめちゃくちゃに良かったので勝手に自由研究を行いその成果をインタビューという形で本人にぶつけました。

 

忙しい人のための4行

・全曲通してほぼ即興で録音された歌(=無意識)。音=振動=ノイズ

・耳に馴染みの良いサウンド

・様々なジャンルを往来する独自の路線

・約51分で¥900+FREE DLの 無意識ノイズ特典Ver「アウトオブ無意識ノイズ」

 

ダイジェスト 

 

制作背景と今後

フィンガースティック奏法(正式にはファンクフィンガーズ奏法)を取り入れたことを明かしている

 

 アルバム配信前楽曲『水神の村」

 

 

今回は全曲に(シロシビンズの楽曲としては珍しく)歌が入っている(ほぼ全て即興で録音)ということで歌詞から読み解いていくのがわかり易いと思い、まずは歌詞を文字起こしすることに。意図的に聞こえにくくしている部分はあるが聞き取れる箇所を書き留めサウンドとともに理解を試みる。

 

一聴するだけで「こういう曲」だと言い切れない部分があり、

安易に「◯◯っぽい」と形容できない曲が殆ど(これは僕の知識不足もあるんですが…)

そして何度も聴きたくなるサウンドの魅力も相まってシロシビンズのアルバムに没頭していった。聞くたびに少しずつ「こういうことかな」と解明していく楽しさがあった。

そして自分の見解が正しいのか気になり今回インタビューするに至ったというのが経緯

 

インタビューを行うにあたり纏めたレポートの一部 

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-アルバムタイトルについて

 

シロシビンズ(以下 シ) 「無意識ノイズの"ノイズ"っていうのはノイズミュージックのノイズではないんですよ。音楽っていうものは基本的には振動だからね。振動っていうのは、ようはノイズであって、人からしたらポップミュージックだって気に入らなければノイズになるわけでしょ?」

 

「そう考えると音楽っていうのは"ノイズ"なんじゃないかってこと」

 

独特な髪型で現れたシロシビンズ

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-順を追って曲解説

 

1. エカシ・オンカミ 

 

ヱスケー(以下 ヱ)「まずは『エカシ・オンカミ』だね。アイヌ語でekasi(=長老) onkami(=拝む)という意味なんだけど、なぜアイヌ語を使ったの?」 

 

「これはね、まず僕が北海道のミュージシャンであるという意識が最初に出たの。」

 

「北海道のミュージシャンで"アイヌ的なアプローチ"ってあんまり聞いたことがなくて、やっているとすればアイヌにすごく接近している人。それを考えると「おかしくね?」って思ったの。日本固有の民族が、なんで北海道の地でアイヌという民族が居ながら着目されてないのか。おかしいんじゃないか?って思って、俺たちの居る土地はアイヌの地で、北海道で活動しているミュージシャンなんだぞっていうのを打ち出したかったんだよね。動機はそこです」

 

「長老が拝んでいるというタイトルだけどこれについては?」 

 

「最後の"エトピリカは飛ぶ カンナカムイ気にせず"というくだりで、風よ穏やかにあれっていうのを祈っているっていうことだよね」

 

「あと雨のSEから始まるけど、もしかしたら雨乞いを拝んでるのかもしれないし」

 

「この雨音を録ったのは偶然なんだよね」 

 

「これは偶然。でも偶然を含めて繋がったんですよ」

 

「ただ最初のイントロは完全に別の意識で作った。びっくりさせようと、「こういうものだよ」って「変なものですよ!」っていう先制攻撃」

 

「ダイジェストっぽいけど違うんだよねこのイントロ。アウトテイクも混ぜられてる」 

 

「アウトテイクは2曲入ってる。結果的に曲にならなかった素材も入ってるんだけど、後は未発表曲とかそういうのも入ってる。ダイジェストというよりはサウンドコラージュのイメージで作ったものだね。断片が流れだしてから始まる。そのくらいかな」

 

イントロ用に短い曲を作ったのかと思ったがアウトテイクでしっかりとした曲(3~4分)のストックが10曲ほどあるという

 

 

2. EVOLさん

 
(一部歌詞)
恋は盲目
愛は激烈
 
そんなことでも幸せさ
連絡ないとハラハラ
笑顔がないと気になる
知らないうちに落ちている罠
 
嬉しいことなどない
お金もだんだん出て行く
ストレスだってたまにたまる
 
辞書には載っていない(THIS is LOVE) この心のざわめき
辞書には載っていない(THIS is LOVE) この心のときめき 

 

「このタイトルはSONIC YOUTHのアルバムから?」 

 

「タイトルつけて、後から気付いたの。「SONIC YOUTHのアルバムと同じじゃん!」ってだから『さん』をつけた。単純にLOVEの逆です」

 

「ひねた人間だから恋の歌って作ったことないなって思ったの。少ないとはいえ恋愛はしてきたわけで、そのくらいの自分が恋愛ソングを作ったらどうなるの?っていうことなのね。恥ずかしげもなく言うけど そういうことです」

 

「相手好きな時って今考えたら「どうかしてた」って時ない?」

 

「うん。よく言われることではあるね(よくわかってない)」

 

「なんでわざわざこんなことしたんだろう!?って、そういうことだよね"恋は盲目" で、"愛は激烈"。覚醒剤やってる男を支える女の人もいるわけじゃない。激烈だよね

 

"笑顔がないと気になる"なんてすごいよね。今までなら絶対使わなかった。」

 

「うん。」

 

「でもなんかムスッとしてて気になったんだよ。」

 

「で、"知らないうちに落ちている罠"。結局さ、恋愛してるけどドツボじゃね?っていう」

 

"お金もだんだん出て行くストレスだって溜まっただろう"

デートってさ、お金かかるじゃない。これ絶対みんな思ってると思うけど、デートってお金かかるしストレスたまると思うんですよ。お店見つけないといけないし…。」

 

「うんうん。(よくわかってない)」

 

「例えば『ルサンチマン』みたいな言葉もあるんだけど、恋の葛藤みたいなところで、言葉では表せないんだけど落ち着かないなっていうこともたぶん人が好きな時にはあると思うんですよ。そういうことです。ものすごいストレートに書きましたよ」

 

「最後に英語でなんか言ってるでしょ?あれはね、全く関係ないんだけれどウィリアム・バロウズっていう意味わからない小説書く人がいるんだけど、」

 

「ああ、カットアップ の」

 

「そうそう。その人の小説でね、『そしてカバたちはタンクで茹で死に』っていうタイトルがあってそれを言ってます」

 

「実は全く関係のないことを英語で言ってたんだね。そしてカバたちはタンクで茹で死に…笑」

 

「恋愛してたらそういうこともあるんじゃない?(適当)」 

 

3. PITTFALL HUMAN LIFE

 

(一部歌詞)

家も建って 妻子だって一緒さ
今までの努力の証さ
だけど孤独の隣には
落とし穴 落とし穴
 
足元 近く イェイ イェイ イェイ
足元 さらう イェイ イェイ イェイ
足元 近く イェイ イェイ イェイ
足元さらう イェイ イェイ イェイ
 
上手くいくときの危険性
 
気づけば 万年この日
子供はあちこち 巣立ち?
家の中 不幸が続き
憂鬱が 憂鬱が
 
家の塗装も禿げて イェイ イェイ イェイ
庭の草木も荒れて
ため息 立場もない
 
昔話も弾まない
 
誰がこんなこと想定したのか?
 
いっときの 
気づかない
足元の落とし穴
落とし穴
落とし穴

 

「これはね、あんまり言うことがないんですよ。PITTFALL=落とし穴 という意味で人生の落とし穴みたいなことですよ」

 

「明るい曲に暗い歌詞をつけたんだよね」

 

「そうなんですよ。これはDavid Byrne- Like Humans Do が元ネタ。当時この曲がWindows XPにデフォルトで入っていて曲調とかテーマも同じ。冒頭のパーカッションもかなり似てるね。弦セクションもそのインスピレーション」

 

「あの弦楽器の感じはシロシビンズの曲では珍しいなと思ったし効いてるよね」

 

「これを作ったのはアルバムの中で最後の方…最後の最後かな。」

 

「これが最後なんだね。この曲のテーマって以前自虐的に『ヒューマンエラーって言葉があるけど僕はエラーヒューマン』と言っていたのが元なのかと思った」

 

「そんなこと言ってたの?いいこと言うじゃないの」

 

「いいことかはわからないけど…笑

終わりが悲惨な結末を思わせるような音で締めくくるんだよね」

 

「これね、PILの『Don't Ask Me』っていう曲のPVがあるんだけど、最初はすごくいい家を買うんですよ。誰かの家を出払わせて夫婦にその家を買わせるのね。その人はどんどん地中に潜って行っていい生活になる。それに比例してその夫婦は倦怠期になってどんどん暗い家庭になって行くってPVでそれもイメージの中にあったかな。」

 

「これも即興で録ってるの?」

 

「これは軽く固めてからだね」

 

「だんだん不幸になっていく様を描いたと」

 

「そう。いいことなんてそんなに続かないじゃないですか。仏教でも言うんですけど、"一切皆苦"って。これは何かって言うと、貧乏で何かが買えない。人生が苦しいっていうのはお金がなくてこれが買えないとか細やかなことでも"皆苦"だから人生は一切皆苦。だから仏教の教えの中で人生は一切苦しいものなのにそれを幸せを前提に考えていること自体おかしいんじゃないの?ってこと」

 

「だから一戸建て持って妻子持って幸せだけどそれはその場だけの幸せであって結果的にどうなるわけでもない」

 

「それはたしかにそうかも」

 

「一曲目でアイヌから始まり二曲目で愛の話になり三曲目で仏教の教えが入ってきてますね」

 

「すごいね笑」

 

4. フェノミナップ

 

(一部歌詞)

睡眠過多
睡眠過多
 
起き抜け
その後の疲れ
吹き飛ぶ
吹き飛ばす
吹き飛ぶ
吹き飛ばない
 
眠いような眠くないような
ねむい…ねれる?
 
(ラテン語で眠れない)
 
半寝ぼけ
徹夜明け
寝たような
寝れなかったような
二日過ぎたような
1日も経っていないような
(睡眠過多)
とにかく辛い
肩が重い
頭がはっきりしない
これ寝れた?
これ寝れてる?
なんだ…
よくわからないな
寝たのかなあ
寝れてないのかもしれないなあ
 

「バラしますけどこれはZAZEN BOYSの『Take Off』って曲」

 

「で、ナップっていうのはパワーナップ っていう言葉があるんですよ。前のアルバムで一曲そういう曲があったんだけど、カフェインを摂取して効いてくる40~50分後の前に寝るの。そして起きるとカフェインの効果+睡眠による疲労回復で作業効率が上がるっていう一つの睡眠活用法みたいなことらしいんですよ。」

 

「それ何回かやったことがあって上手くいったこともあったので、『ナップ』っていうのは自分の中でパワーナップの意味』

 

「ビートのヒントはZAZEN BOYSだったけどタイトルのヒントはYMOの『ラップ現象』からきていた」

 

「そうなんです。最初のタイトルは『ナップ現象』だった」

 

「前の曲との繋ぎがねガチャガチャッとチャンネルを切り替えるような…」

 

「スタジオのチャンネルのスイッチングだよね。それでエンジニアが揉めてる…みたいな。」

 

「それでコンテニューという言葉で繋がる」

 

「この"コンテニュー”にも元ネタがあるんです。ロバート・フリップ っていうね、キング・クリムゾン のギタリストがいるんですよ。ロバート・フリップのソロで、ある曲が終わった後に違う人の声で「STOP!」って言って終わるの」

 

「かっこいいね」

 

「それでテープの逆再生の音が入って、その後低い声で少し笑った感じで「コンテニュー」って言うんですよ。それが元ネタ」

 

「そこに元ネタがあるんだね。細かいな〜!」

 

「これも即興で歌ってる?」

 

「そうだね。途中のナルコレプシー って言ってるところがあって、ナルコレプシーって言うのは睡眠病でいきなり寝ちゃう病気。気絶に近いんだけど、脳の「起きろ」って信号が出なくなってバタンって。僕の好きな人で中島らもって人がいるんだけどラーメン食ってる途中に寝ちゃってどんぶりに頭突っ込んじゃったって話があるの。そういう病気」

 

「一時期これに近い状況があったんですよ。社会人になりたての時にいくらちゃんと寝ても気絶みたいに眠っちゃう。飲み会で「なんで寝てた?」と怒られる。なんでかわからないんだよ」

 

「急にスイッチが切れちゃうんだなあ。『寝れてないのかもしれないなあ』ってどっちかわからないまま終わるんだよね」

 

「これはビートができて「こういうのを歌いたい」と思って録音したんじゃなくて、いざ音を聞いて歌い出したらこうなったということなんだよね?」

 

「そうだと思う。たぶん寝起きっぽい声が録りたくて、舌足らずな感じで。だからちょっと演技っぽいんだけど」

 

 

5. ラッキーストライクミーンズファインタバコ

 

「アルバムの節々で耳にするこの冒頭の声?はなんて言ってるの?」

 

「これは声じゃないんですよ。確かラジカセの音だったかな。それを加工してる。

「マジかーーー」の後聞き取れない言葉があると思うんだけど、

それはラッキーストライクミーンズファインタバコと言った後に「ラッキーストライクはとても良いタバコなんですよ」って言葉が続いてるの。説明したってことですね」

 

「これって声じゃなかったのか何度も耳にしたから何かの暗号かと思った。」

 

「この曲は一番最初に聞かせてもらったんだよね。その時のものから手は加えられてる?」

 

「加わってます絶対に。「マジかーー」とか入ってないです。これはね、元々タバコ屋に行って録音したものを編集したってだけなんですよ。この後に入ってる曲はこれをなんとか軌道修正しないといけないと思って作っただけなんですよ」

 

 ヱ   

 

「途中に入っている

"このような不誠実があると、打撲、骨折、捻挫、
最悪の場合、即死…とかあります。これね"
というアナウンスはどういう意図があっていれたの?」
 
「航空アナウンスの動画を見ていて機内アナウンスでさ、「緊急着陸時のご案内です」みたいなのあるじゃん。それの真似」
 
「この後の展開がめちゃくちゃかっこいいんだよね。この後に古舘伊知郎的な実況が入っていると…これは何を実況しているの?」
 
「これは一発録りなんですよ。たぶんレースなんですよ。でね、金色の旗を持った選手が出てくるかからみんな旗を持ってるんだと思う」
 
「旗… 」
 
「一人頭抜けてるなって思うんだけど、後からまた抜いてきたなっていう。名勝負だなと思いながらアナウンサーが熱中してて結果的に発作を起こして倒れちゃう」
 
「『ラッキーストライクミーンズファインタバコ』というタイトルはそれを吸っているわけではなくて単にキャッチコピーが面白かったってこと?」
 
DEVOっていうNew WaveバンドのLIVE盤でタバコ配ってるところがあって、「ラッキーストライク」って言って放り投げるの。メンバーの一人は「ラッキーストライク!L.S./M.F.T.」って言ってて何だろうL.S./M.F.T.って…と思って調べたらこれが出てきたんですよ」
 
 
6. POINT STONE
 
(一部歌詞)
特殊なフィルターで見るいつもの部屋
キャンセルされた生活感、まるでラボのよう
 
『鈍色の石球をクリアテーブルに置く
まるで最初からそこに存在してたかのように
置く その間のまんま
置く 優しく置く
 
 
「これはね石を置いてみただけって曲なんですよ。イメージとしては白い綺麗な部屋にクリアのテーブルがあって器の上にオブジェの砂利みたいなのが敷いてあるやつあるじゃない。その上に石を置く感じ」
 
"まるで最初からそこに存在してたかのように置く”っていうのはそこがポイントだったんじゃないかってこと
 
「最後タイピングの音が入ってきて途中でブツッと切れるじゃない。これは書き終えないままの死を意味してるのかなと思ったんだけど」
 
「これを最後の曲にしようと思ってたので、一曲目の最初にイントロで始まったから最後はタイピングで終了という意味にした。次の曲がノイズから始まるから次に移動するって意味でも使えるかなと」
 
「最初聞いた時シロシビンズっぽくない曲だな〜と思ったんだよねこの曲」
 
「この曲は元ネタがあって平沢進 の『呼んでるベル』なんです。ギターはロバート・フリップ の真似」
 
"キャンセルされた生活感、まるでラボのよう"ってところは俺が前にシロシビンズ宅に遊びに行った時に「ラボみたいだ」って言ったのが元になってるのかな」
 
「それはびっくりしたんだよね。衝撃だよ。まさに無意識で…(忘れてた)」
 
「たぶんラボって言葉が好きなんだよ」
 
"キャンセルされた生活感"ってすごい言葉だよね」
 
「別にさ、ショールームって言ってもいいわけじゃない。ショールームでいいのになんでキャンセルされた生活感って…今になるとそう思うんだけどまた意味が違ってくるんだよね。言葉って不思議だよね」
 
 
7. いただきをめざして
 
(一部歌詞)
同時多発的決定
手段も選ぶ時間もない
即決で決められた
強引な採決にのっとって
見知らぬ鳥の群れが行く
集団でどこかへ飛んで行った
彼らには自由がある
僕らには糧しかないんだ (残されたのは少ない糧しかない)
昨日も明日も明後日も
 
"最近はどうだい?
こっちは元気でやれてます
体を壊さないようにお願いします
食べ物、水、必要なものは
すべて そちらに送りましたから"
 
ここは黄昏の国
すべての仕度は整った
夢じゃないさ
本当のことさ
奇跡でもなんでもない
それができるのさ僕らは
 
シェルパを信じて
この断崖を登る
 
断崖絶壁を登る
何も言わず黙々と登る
彼は「付いて来い」と言った
僕は黙ってついていく
僕は黙ってついていく
断崖絶壁を登る
 
いただきをめざして
 
抱かれるような
この太陽   "見よ"
 
「タイトルの雰囲気とイントロからRPGを連想したんですよ。でもいざ始まってみると現実的な内容に感じた」
 
「あ〜…これはね、山登りです。シェルパ が出てくるので。登山家の人は絶対知ってる言葉」
 
"同時多発的決定 手段も選ぶ時間もない "印象的な言葉から始まるよね」
 
「これはソ連のイメージ。ディストピアユートピアの反対で管理社会ってこと。その後に続く"即決で決められた強引な採決 "というのは国が勝手に決めたルールでしょ?で、鳥は飛べる、でも自分には自由がないな…そういう人も居たんだろうなって」
 
シェルパという言葉が出てきた時点で決まったんですよこの曲が。でなきゃ『いただきをめざして』って言ってないんですよ。なぜなら山登りだから」
 
シェルパという言葉が聞き取れなくて話が繋がらなかったんだけどこれで繋がったよ」
 
「エベレストを登るって普通の登山じゃないわけじゃない。こんなの地獄渡って行くようなもんだぞっていうところに行くわけでしょ?冒険っていうレベルを超えていて死と隣り合わせじゃない。「このままだったら帰ってこれませんよ。餓死するまでこのままですよ」みたいな」
 
「この歌詞はさすがに書いたんじゃない?」
 
「書いてません」
 
「すごいなあ。これはすごい。即興で録るときって一発録り? 例えばビートを流して歌うじゃない。一度歌ってみて良かったフレーズを残してそれを何回か繰り返して歌詞を作っていくのか」
 
「言いまわしを録り直すことはあるけど基本的には変えない」
 
「変えないんだ…出たものをそのまま使ったほうが面白いってことか」
 
「うん。後で気になるってことがなかったんだよね」
 
「ラッパーの人で即興で録るっていうのは聞いたことあるけど…」
 
「ビートに合わせて歌うとビートを意識するから歌がノってくるんじゃないかなって思いで録ったんだよね」
 
「それこそ無意識の部分…言いたいことを意識するよりも良いものが出てくるんじゃないかという」
 
「今までね、録るときにメロディを無理やり頭でひねり出そうっていう録音の仕方をしてたんだ。例えばギターのフレーズがあったらギターのフレーズを意識しないで歌おうと思うんだけどやっぱギターに引っ張られてつまらないってことが多かったんだけど、今回そういうことを一切考えないでやったら出来たんですよ。」
 
「即興で録る前に始まりや着地はイメージしたりする?」
 
「ワンシーンが頭に浮かぶことってない?空想でも映画でも。それ。それが単純に言葉になってる。後は妄想とか空想が好きなので…漫画も描いてるし、そういうことでオリジナルの漫画じゃないけどそういうワンシーンが浮かんで『シェルパが山登りか…』って感じで出てきた」
 
「聞く人によって捉え方が変わってきそうな歌詞だよね」
 
「とにかくね、意味を決定させないようにしたの。投げっぱなしなの」
 
「深読みできるところが多いんだよね。勝手に想像して、捉え方は任せますよと」
 
「その方がエンターテインメントとして成立すると思ったんだよ。政治的意図で音楽やってるわけじゃないし。そうしたときに「なんで日本語の歌詞なの?」ってなって、今まで全く意味のない造語とか使ってたんだけど今回は日本語にしたの。日本語にしたのは無意識に歌ったら日本語だったからなんだけど、でも結果的に何か伝わるんだとしたらそれは相手の『無意識』」
 
「相手の無意識に作用してるんだ」
 
「無意識っていうのは自分にもあるけど相手にもあること」
 
「人の考えてることってみんな違うから自分の思ってることが相手にそのまま伝わることって絶対ないじゃない。でもそれが湾曲して伝わったりしてマスメディアが事実じゃないネットの噂をニュースで流すようなことも最近あるよね。でもね、それが良い方向に行くと面白かったりするんですよ。」
 
「俺は誰かがわかってくれるかなと思って気持ちの断片を書いてるから自由に捉えてくださいって書き方はしたことないなあ」
 
YMOピュアジャムって曲があってイントロが印象的なディレイがかかってるんだけど、英語で『こんな不細工なジャムトースト見たことない』って言ってるんですよ。何でかと言ったら当時スタジオの下の喫茶店で注文したジャムトーストがあんまりにもでっかいトーストにジャム塗ってるだけで不細工な形だったんだって。だから『こんな不細工なジャムトースト見たことない』って歌詞なの。だけど外国でインタビュー受けたときに「これは深い意味があるんですか?」って聞かれたの」
 
「本人にしかわからないムカついたことを書いたら深読みされたんだ。考える余地を残しとくといいのかもなあ。そういうところが美しい
 
「その人が決め込んでることを言っても説教臭いと思うんだよ。あんまりそれはやりたくないよね」
 
 
8. LAST YOURE HERE
 
(一部歌詞)
便利で病気になり
みんなの飛行機
旅行先でいそしむ
糸を編む仕事
 
サイクリングの帰路に
裁判の仕事
もう一度尋ねる
あなたのメチルを
 
「タイトルも内容も一番意味ないんだよ。昔に作った曲を作り直したってだけ」
 
「バンド時代に作った曲なんだよね」
 
「2011年頃にはもうライブでやってた。その前にはもう曲は作ってたからたぶん10年前に作った曲。作り直したっていうか初めて音源にした。そしたらこうなった。歌詞はライブで言ってた部分もあると思う」
 
「この中で気になった歌詞があって、"便利で病気になり"ってところなんだけど」
 
「ここは思い付いて自分でも気に入ってる。思ってたのは健康サプリあるじゃない。ああいうことなんだよ。サントリーのセサミンとかさ。あれで「毎日スッキリ!」とか言ってるじゃない。覚せい剤と何が違うんだよって」
 
「「毎日スッキリして疲れがなくて…これがないと不安で…」それ薬物依存症じゃん」
 
「たしかに変わらないね」
 
「だから"便利で病気"じゃん」
 
「不便な方がかっこいいし…」
 
「っていうかね、不便な方が人間は考えるんだよ。だからラジカセ使ったんだもん」
 
「便利になる一方でダサくなってるって意味なのかと思った」
 
「いろんな意味を含んでるけど、とにかく今の人はみんな"便利で病気"になってると思う。コレがないとアレがないと…って言ってるけどそれが無いと本当に終わるのか?そんなわけないでしょ」
 
「後は裁判の仕事…?って部分の歌詞。サイクリングの帰路に裁判の仕事?」
 
"サイクリングの帰路に裁判の仕事もう一度尋ねるあなたのメチルを"
 
「面白い歌詞だなあ笑 このメチルっていうのは?」
 
「たぶんメチルアルコールのことだと思う。一応調べたけど、あんまり意味は無い。けどなんとなく浮かんだから…」
 
「俺もこういう言葉あるんじゃないか?って歌詞を書いて後から調べたら意味になってたっていうことは結構ある」
 
「後半転調した後の歌詞は?」
 
「わざと聞こえにくくしてるんだけどライブで言っていた歌詞もあると思う。”カルトの背表紙"って言葉は入ってる。とにかく最後の『ヒィーアッ』を迫らせたかった」
 
「カルトの背表紙…」
 
「ベースが一番気に入ってるのはこの曲。早くなってからのベースが気に入ってる」
 
「曲を聞いていてこういうベースラインを弾くんだーってところが結構あったんだよね。ベースラインっていじりたくても結局通してループになっちゃう」
 
「打ち込みだとモノモードでやるとベースは面白い。単音でしか鳴らないから鍵盤一箇所押しっぱなしでそれに合うフレーズを弾くと面白いメロディになるよ」
 
 
9. キュートパンク
(一部歌詞)
 
C!U!T!E!
C!U!T!E!
C!U!T!E!
C!U!T!E!
 
 
ハリネズミのように
スナネズミのように その他(etc)
 
見てくださいこの毛並み
見て下さい機敏な動き
不肖 私 ナッツには弱く
貰ってすぐ食べちゃいます
不肖 私 ナッツには弱く
すぐ秘密の場所に隠します
 
丸まったり
ジャンプしたり
特殊な嗅覚を使って
捜索、よく言えばパトロールなんて
捜索、よく言えばパトロールなんて
お茶の子さいさい
なんだってできるよ
 
ハムスター
 
ハムスター
 
みんな”キュート丸出し”でトコトコ
ご飯は何処かと部屋駆け回る
 
不可思議な変化
何千年も前から
多少 今と違うとして
哺乳項の維持
 
ちんまりしてキュートだよ
 
カモノハシのように
ビスカッチャのように
 
森、山、険しい自然に帰ろう
二度と捕まらないように帰ろう
 
「またいきなり雰囲気が変わりますね。冒頭のタブラからの展開が意外だった。この曲はシロシビンズの愛するげっ歯類の可愛さを歌っているけど最後に"森、山、険しい自然に帰ろう" と自由を求める、何か思わせる歌詞が出てくるね」
 
 「ブリーダーとか自分の飼ってるデグーもかわいいけどさ、お嫁さんとか作ってあげられないわけでしょ?そう考えると人間のエゴでしょ。全部愛してあげられているかといったらエゴで愛してあげられない部分もある。そう考えると『かわいい動物の視点で』"二度と捕まらないように帰ろう" 自分に置き換えればそう思う」
 
 「げっ歯類は砂とかに餌を隠すんですよ。あとチラシとか、隠せてなくても隠せてるフリをしてる、というか隠したと思っちゃうんですよ」
 
「隠せた顔をして…そこがまたかわいいんだね」
 
 「歌詞の最後に出てくる『ビスカッチャ』っていうのはね、ペルーのマチュピチュとかにいるデグーとかチンチラの間のウサギに似てるんだけどウサギじゃない。げっ歯類でいつも眠たい顔してるんですよ。寝てないんだけど。でも寝てたりもする。かわいいよ」
 
 「これはわかりやすいですよ。自分の好きなものだから単純だよね」
 

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10. 無意識ノイズ
 (一部歌詞)
 
浮遊する街角で
生成された水が降る
 
発行されない未来
 
当然来る
壮絶に来る未来
 
キャンドルは消える
空気を失って
鋼鉄の都市をいく
走り去る記憶
 
無意識の庭
無意識の公園
無意識の影
無意識の君
 
「この曲が実は一番わかりにくかったです」
 
 「声いじってるしね」
 
 "当然くる壮絶に来る未来"これね、ピストルズの曲で、『no future no future no future for youってね『未来なんてないぞお前ら』って曲があるんだよね。MOSTってパンクバンドがいて、女の人がボーカルなんだけど『ノーフューチャーなんて嘘っぱち、未来は嫌でも必ずやってくるって そこから演奏がバンッと激しくなるんだけど、マジでそうだなと思って。未来は嫌でも必ずやってくる。」
 
 
 「別のタイトルでもよったんだけどタイトル曲に"なった"んですよ。合うかなって」
 
 
「アルバムのタイトルはこの曲の前から決まっていた?」
 
 「前から決まってた。だからこれを聞いてくれ!ってわけでは全然ないの。だったらもっとちゃんと作ってるし…笑」
 
「自分がこのアルバムの中で全体を通して聞いてみて『無意識ノイズ』ってタイトルをつけるならこれだなという感じだった」
 
 「これはまずシンセありき。オーケストラ(的な音)を入れたのは正解だったね」
 
「うん。こういう感じはシロシビンズの楽曲では珍しいなと思った」
 
「珍しくこうしたのはループだけの曲だったので、オーケストラのボレロってあるじゃない。あれって楽器がどんどん重ねられて壮大になっていくんだけど、それみたいな感じで楽器を入れてちょっとエモーショナルな感じを出したかった」
 
「この歌詞はSFだよね。未来では生成された水を飲んでいる。」
 
「水が…川が流れているという考えがなくて。灰皿から水ができるとかさ、「水って言ったら"あの技術"で灰皿を圧縮して一滴できるんじゃないの?」とかさ、そういう考えかもしれないなと思ったの」
 
「"浮遊する街角で生成された水が降る"
 
「浮遊する街角っていうのはそのまま歌っただけ。そして酸素がないから"キャンドルは消える"
 
「この最後の"無意識の〜"という部分はタイトルを意識してつけたものではないんだね」
 
 「違うと思う。それも無意識だね」
 
 
11. みかたのてきのみかた
(一部歌詞)
 
みかたのてきはみかた
てきのみかたはてき
間延びしたこの空気を打破
考えだけではただの脳内信号
 
ぐらぐらの足を
 
 
「無意識ノイズからラストのネロリの丘に行くと暗すぎるだろうということで作ったんですよ。まだあるぞ!っていうのをちょっと入れたかったんだよね」
 
「この曲は元々ある言葉をもとに作られた?」
 
「みかたのてき"は"みかただったと思う…そういう言葉があって、口タブラじゃないけど早口言葉みたいでしょ?それが面白かったから。後半の早くなる展開は普通に歌ってるように見せて実はコピーペーストだったっていうのをやりたかった」
 
「"考えだけではただの脳内信号"ていうのは思ってるだけじゃ何も解決しないぞってこと。戸川純 の歌で"なんとか現状打破考えてみよう それより行動だろ 行動だよまずは"って歌詞があって本当そうだなあって笑
 
となりの芝生を見てないでお前の芝生を綺麗にしろってことなんだよ。悔しいならやればいい」
 
「インターネットで見がちな光景だよね。”ぐらぐらの足を〜"っていうのは…なんなんだろう」

 

「なんなんだろうね…。パッとメロディが浮かんだんだよ。そのメロディについたのが"ぐらぐらの足を"だったから入れざるを得なくて、他に変えようとも思わなかったからそのまま行った」

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有頂天の曲で『ピノキヲ』って曲があるんですよ。サビがね”だよ かっこいい鼻が伸びちゃうよ”って言ってるんだけど、『だよ』から始まるサビの曲はないだろうってことで作ってるんですよ。」
 
「前の歌詞がかかってるとかでもなく」
 
「かかってないです。いきなり『だよ』。だから”ぐらぐらの足を”もありだろって思ったの。これNHKで歌ってましたからね」
 
 
12. ネロリの丘
 
明かりに照らされる
誰もいないステージの上
乾いた拍手がぱらぱらと断続的に続く
曇り空の中を散歩
曇り空の中を歩く
曇り空の中を散歩
 
不思議な架空の動物図鑑
お気に入りのページに付箋を貼り閉じる
16ページ目と
207ページ目
 
抽象的な事柄にはほぼ無関心
せっかくのお土産も開けずに
 
本の文字の中を散歩
本の中の文字の中で迷う
本の文字の中を散歩
本の中の文字に飛び込む
 
いつの間にか飛び込む
 
あの本に書いてあった
思い出す
記憶が
記憶がある
思い出せる
無意識に眠っている
 
根も葉もない噂
踊らされる民衆の声
続かないものと
移り変わる趣味のそれぞれ
 
曇り空の中を散歩
曇り空の中で笑顔
曇り空の中で散歩
曇り空の中を続く
 
いつか行ったオレンジ畑で
また会おうと約束した
 
守ったのに
ちゃんと守ったのに
守ったのに
ちゃんと守ったのに、一人
 
ひんやりした風が問いかける
初めから知っていなかったの
お前は本当は
一人になりたかったんだろう
 
 
「最後はネロリの丘ですね」
 
「これも元ネタがあってXTCの『The Last Balloonチェンバロで始まって最後にトランペットが入る曲。まあ長さも似てるんだけどそれを聞いて「いい曲だな、こういう曲を作りたいな」と思ったんだけど、最終的に全然違う曲になった」
 
「その曲も寂しい曲なんですよ。」
 
"16ページ目と207ページ目"ってところがあるんだけど最初は"14ページと204ページ"にしていて、なんか嫌だなと思って変えた」
 
「この曲はしっかりと歌詞を聞かせたいんだろうなという意識を感じた。他の曲はボーカルを曇らせたり、むしろ「歌詞を読み解くな」とも感じた」
 
「そうかもしれない」
 
「結果的に複雑な作りになっちゃったんですよ。歌入れが大変だった。最終的に最後で盛り上がっていって、こういう終わりかたになるのは良かったな。ラストっぽくて良かったよね。そういうつもりで作ったわけではないんだけど」
 
「そうなんだ」
 
「この後に『POINT STONE』を入れても良かったんだけど、全曲聞いて最後に入れるか…?って。『POINT STONE』ではハッキリ言って軽いなと思った」
 
「最後に聞き取れる、聞かせる曲を持ってきたのはいいね」
 
「この"無意識に眠っている"も無意識に言ってるんですよ。無意識っていうワードを考えながら作っているから無意識ってワードも出てくるわけじゃない。だからハンバーガーを食べながらハンバーガーの曲作っていてハンバーガーの歌詞が…チーズバーガーとか歌詞に出てくるのと同じようなことですよ。たぶんそんなこと」
 
「これは印象的な曲だよね。"本の文字の中を散歩 本の中の文字の中で迷う"というところも気になる
 
「小説とか読んでて「こいつとこいつ誰だっけ…?」ってなることない?」
 
「あるある」
 
「そういう意味 笑
外国の小説とか特にそうなんだけど、『シュナイダー』と『ケント』とか書いてあってさ、誰だよコイツ…って」
 
「最初の"明かりに照らされる 誰もいないステージの上"っていうのはどういうイメージ?」
 
「現代演劇で暗転からパッと明るくなった時に誰も居なかったら変だなって。でもお客さんは何か始まるのかなって、何もないから拍手だけ鳴ってるイメージ。小さい演劇小屋のイメージ」
 
"曇り空の中を散歩
曇り空の中で笑顔
曇り空の中で散歩
曇り空の中を続く"
 
「自分が散歩する時って曇り空が多いなと思って。そんな天気のいい日に散歩ってしなくない?」
 
「そんなこともないような気がするけど…」
 
「天気のいい日に散歩するより曇り空の中を歩いてるのがなんか好き」
 
「最後の歌詞も気になったんだけど俺はこの辺が特に気になる」
 
"根も葉もない噂
踊らされる民衆の声
続かないものと
移り変わる趣味のそれぞれ"
 
「周りがみんなそうじゃない。だから単純にそう思ったんだと思います」
 
「こういうことに対して怒ってるのかなって」
 
「怒ってはいないけどお前ら本当にそういうの好きだなって感じ。根も葉もない噂にさああだこうだって言ってる割に次に大きいニュースあったらそっちに移ってるでしょ。そういうことですよ」
 
dizさんもそういうこと言ってたなあ」
 
「この人のおかげなんですよ。要するにlo-fiっていうかね。だから『高かろう悪かろう』みたいなのはやめようぜっていう。」
 
「『ネロリの丘』ってタイトルなんだけど、最初は『畑』だったよね。そこから『庭』→『丘』とタイトルが変わっていったけど最終的になぜ『丘』になったの?」
 
「畑だと所有地じゃない?庭だともっと所有地。どっちかと言うとこれって栽培してるでしょ?誰かが管理してるものって感じがすごくした。小さいスペースだなって感じがしたの。だからオレンジ畑は自分の中ですごい広いイメージがあったのでそれだったら丘くらいデカくないと待てないというか…そこで約束しないと規模として小さすぎるなあって」
 
「ほぼ荒地に近いような放置された場所のような…最初は『ライ麦畑』だったんだよね。ライ麦畑だとサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』が連想されるのでやめたの。ベタだなと思って。なにか果物を出したいなと思ってオレンジにして、オレンジだから『ネロリ』だなと」
 
ネロリは天然の精神安定剤とも言われているよね。だからこのタイトルを見た時、このアルバム全体に対しての癒しなのかなと思った」
 
「どっちかというとそんな優しいものではなくドライなんですよ。
"お前は本当は一人になりたかったんだろう"
っていうのは人と居るのはうざったいだろっていうこと。約束してるけど結局一人の方が楽だよねっていう。
 
「そんな感じだね。全部抽象的だからね笑」
 
-その後
 
 
 
シャンティブックスさんにもご挨拶に行きました
 
 
 
  
-聞いた人-
ヱスケー
2010年に地元の友人mgmとK.H.BROTHERSを結成。現在はdiz、メガネが加入し4人での活動に
今年MC松島主宰の音楽レーベル トウキョウトガリネズミに加入。今年1月にアルバム『気持ちをちぎって捨てたくなる』をリリースした。
 
-聞かれた人-
シロシビンズ
北海道の音楽家、タブラ奏者。
2010年にバンドとして活動開始。現在はバンド名「シロシビンズ」を個人名にしイラストや漫画、デザインまでその全てを独自のセンスで制作。様々なジャンルに精通し唯一無二の作品を作り続けている。ヱスケーとは大学時代にtamadrowを通じて知り合い 以来度々活動を共にする。休止していた音楽活動を再開させアルバム『無意識ノイズ』を完成させた
 
 
シロシビンズ『無意識ノイズ』
 

ヱスケー × シロシビンズ 『気持ちをちぎって捨てたくなる』を語る

2018年01月07日にリリースされるヱスケーのニューアルバム(通称ヱバム)
『気持ちをちぎって捨てたくなる』
アルバム参加者でもあるシロシビンズが急遽インタビューを敢行!
執拗に聞いてきたので渋々答えたぞ!なんと全曲解説!
もしかしてこれって自分で書き起こすのかなり恥ずかしいんじゃないか?
(最後に作品のリンクあるから見てくれ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『努力の凝縮は450円になっている 』
by シロシビンズ
 

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 diz × ヱスケー『郊外ブルー』を手にご機嫌なシロシビンズ。こちらもよろしく
 
 
 
まずは経緯から−
 
シロシビンズ(以下 シ) :「早速だけど 今回のアルバムを作ることになった経緯は?依頼があったの?」
 
ヱスケー(以下 ヱ) :「特別依頼があったわけではなくて、アルバムを作ろうという意識もなかった。3曲目の『いい感じ』に参加してくれたmukuchiさんと曲を作りたいなと思って…当初はその一曲のみ配信しようとしていたんだけど その作業が難航して半年くらいかかってしまった。」
 
:「わかるわかる。創作の便秘」
 
:「そうそう」
 
:「今出すタイミングじゃないな〜みたいな」
 
:「っていうのもあるし 全く歌詞が書けなかった。最終的にはデモから大きく変わったんだけど、展開も思いつかなかった。ラップ→女性シンガーサビ→ラップ〜みたいなよくある展開にもしたくなかったし。R&B的ではない女性ボーカルが欲しくて…」
 
:「ああ、大黒摩季みたいな、ブスだけど性欲すごいっていう笑 そういう人だと変にソウルフルにしてくるしさ…」
 
:「自分のテンションに合う人を探してたんだよね」
 
:「うんうん」
 
:「初めはこの人Twitter面白いな〜と思って見ていて、勝手にテンションが合うなあとかシンパシーを感じていて…で、曲作ってるんだーと気付いて聞いてみたらめちゃくちゃ良くて。そこの感性は同じっていうか、いい感じの人だなと思ったら作っているものもやっぱりいいんだよね」
 
:「やっぱりさあ、Twitterでつまらない人は作ってるものも面白くないんだよ」
 
 : 「『いい感じ』で迷ってる合間に息抜きで作った曲を後から聞いてみるとテンションが合っていたのでアルバムできるなあと」
 
:「『いい感じ』を作っていく過程でできた曲が結果的にアルバムになっていったわけだ」
 
 
 
順を追って解説
 
 
 
1. intro
 
 
:「アルバムを作った経緯は聞いたので一曲目から順に聞いていきます。」
 
:「まずはintroか」
 
:「introは余興っていうことでもないんだけれど、トラックがあって最後に咳が入っているよね。普通のイントロダクションというわけではないけれど、はじめに軽めの短いものを入れようと思って作ったわけ?」
 
:「元々あのビートがあって分数も長かった。それを縮めてあのサイズにした。歌も入れようかと思ったけど最初から歌があると邪魔くさいなって、入り口を整えたくて…最後に次の入りを意識させるために咳だけ入れた。昔のラッパーがよくやってる感じの、好きなんだよ」
 
:「あの導入は面白いよね。ラップ的側面ではないと感じたけれど、俺が良くやってる作風に似てるかもっていう。俺も最後に咳入れたりっていうのはよくやるので」
 
:「要はカーテン開けて舞台見せますよ〜ってことだよね」
 
 
 
2. 飲み会は早めに帰る
 
 
 
:「で、二曲目が…」
 
:「飲み会は早めに帰る」
 
:「あれは あるあると言えばあるあるだよね。わかり易く言うと飲み会行きたくないあるある…そして断れないあるある…」
 
:「そうそうそう…」
 
:「だから内容としては一番共感を得やすいところで、俺が一番好きなのは最後の語りのところ」
 
:「あ〜笑」
 
:「子供ができたら飲み会断れる子供に育てよう…飲み会行きたくねぇ!っていう子供に育てよう…えっ!それ前提で子供作るの!?っていう笑」
 
:「まあ自分ができなかったことを子供に託すってやつですよ」
 
:「飲み会を断れる子供に育てる局所的な目標…」
 
:「たしかにねぇ笑」
 
:「うん。そこがね、おもしろかったです。メッセージ性が全くないというか…ギャグテイストというかそこらへんが入っていて良かったです」
 
:「あと"勿体無いよね↑"っていうイントネーションが…」
 
:「訛ってるようなね」
 
:メガネさんのリリースパーティーで「メガネちゃんリリースおめでとうって言った時の はんなり感?が出た時を思い出した」
(ボツテイクでなぜか関西訛りでしゃべってしまったとことがあった)
 
:「なんで出ちゃうんだろうね。今までそんな喋り方したことないのにさ、恥ずかしい〜〜」
 
:「とりあえず愚痴言うだけじゃつまらないから曲にしましたっていうやつだから」
 
:「行っちゃうんだけどやっぱり一次会で帰るっていう…帰ったあともブルーなのはなぜかっていうとさ、飲み会だから相手に合わせて自分のいつも出さない部分を出しちゃえみたいな。それを振り返ってブルーになるってところもあるわけでしょ?」
 
:「うん。後ろめたさとかね〜帰っちゃった…とか」
 
:「余計なこと言わなきゃ良かった〜とかね」
 
:「そうそう、曲の中でも言ってるけど"その場にいることの プラスよりも 酔って余計なこと言う リスクが高い”んだよ。実際に口滑らせちゃうし」
 
:「それしか機会がないから…とか仕事じゃないからいいや!っていう精神的働きがあるのかな?でも会社に忠誠尽くしてますって感じを出さないといけないし」
 
:「飲み会は早めに帰るを作ったのがほぼ1年前くらい。最近は断れるようになってきた。成長したよ」
 
 
 
3. いい感じ feat. mukuchi
 
 
 
:「元々映画のタイトルからとって深呼吸の必要にしようかと、それを縮めて深呼吸にしていて。でもmukuchiさんから歌のデータが来て「ダメで元々いい感じ〜♪」っていうフレーズがすごく良くて、『いい感じ』というタイトルにしました」
 
:「いいと思う。向こうに内容を寄せた感じなのかな」
 
:「データを頼む時に自分のラップが入った状態で渡して、これに寄せた内容で「良いこともないけどそんなに悪くもない」って内容にして欲しいと言った。マイナス風だけどそうでもないくらいのテンション」
 
:「ロートーンでくださいって感じかな」
 
:「そうそう。冷めながらも前向きなんだよ」
 
:「タイトル通り”いい感じ"だよね。3曲目というチョイスも良かった」
 
:「とにかくmukuchiさんの声がいいんですよ。歌詞も他では見ない言葉の並び」
 
 
 
 
4. 天気のいい日は昼寝に限る
 
 
 
:「これ聞きたかったんだけどさ、あれって本当に自分の寝てる時間の音声?」
 
:「そう」
 
:「あ、やっぱそうなんだ!何かがないとわざわざインストを入れないだろうって思ったの。歌がいらないからインストって場合もあり得るんだけども、ただ、昼寝ってところで宅録でしょ?」
 
:「うん」
 
:宅録で”昼寝”ってところで思ったのよ。やっぱりこれって昼寝の時のサウンド入れてるんじゃないか?って。自分も昔『外』って曲作ってさ、それがなんで外かって言ったら外の音を入れたから『外』っていう笑」
 
:「あれは昼寝している時間 外はこうなってるぞってことなわけだよね」
 
:「そうなの。俺は今夜中働いてて日中寝てるんだけど、そうすると本当に子供がうるさいの!もうこれは曲にしてやろうと思って。単純に昼寝する時に外の音を録音しながら寝た」
 
:「ドキュメントだよね」
 
:「ちょっとしたね。昼寝の間のドキュメンタリーだね」
 
:「子供の声って意外と聞けるんだよね。アンビエントミュージックというかテクノとか静かな実験音楽とかさ。大人が飲み屋でガヤガヤやっているのより子供の声って音楽に使われやすいよなって思う」
 
:「実は子供の声か石焼き芋の音声か迷って、まあ子供の声にしたんだけど」
 
:「ベタだから?」
 
:「ちょっと恥ずかしいなって」
 
:「あー…わかるわかる。狙いすぎかもってね」
 
 
 
5. まんねん feat. diz
 
 
 
:「これは ほぼdizさん先行…?これは共作?」
 
:「そうだね。なにも考えずに作り出して「これはあいつに合うぞ」ってなって。まぁあの人に頼む時点である程度のクォリティは保障されているわけなんだけど。それでサビを先に録ってこれに合わせてラップしてよと」
 
:「dizさんはね、声のトーンとか、その時点でかなりインパクトがあるよね。存在感がすごいんだよね」
 
:「今までdizやメガネは自分の曲には呼ばないようにしていた。向こうに呼ばれたらやるけど…っていうのはあの人たちの集客力で人を集めても意味がないというか」
 
:「ネームバリューを借りたくない」
 
:「そう。それもあって自分がもっと頑張らないと、それに負けないくらいにならないと意味がないなと思っていた。ようやく最近になって そろそろいいんじゃないかと思えるところまで来た」
 
 
:  笑「ことあるごとに言ってる」
 
:「人々の敵でしょ?」
 
:「すごい名前だよね」
 
 
:「最初はサビの歌詞からとって『聞こえない』というタイトルだった。でもdizが書いてきた歌詞の冒頭で"なに言ってまんねんから何年…"っていうのがなんか面白くて…」
 
:「あーあーそうだ!言ってたねぇ笑」
 
:「dizさんが友達に「俺ラップやるわ」って言ったら「なに言ってまんねん」みたいなこと言われた…って言ってて」
 
:「なんだろう…あの、"なに言ってまんねん”?関西バラエティみたいな」
 
 :  笑
 
 
:上沼恵美子が司会のローカルバラエティって感じがすごいよね。寒いノリをワザとやりましたっていう。」
 
:「でも、まんねんのあの比重だとdizさんに食われちゃうよなあ。でもそういうのも一個あってもいいよね」
 
:「うん。まあそのつもりで作ってるしね。内容が"近所も遠方も一緒”とか俺が思ってることを言ってくれたりさ 代弁してもらう部分はあった」
 
:「これってパソコンが同じじゃない。脳のパソコンがさ。脳のOSが同じだからさ」
 
:「もういいのができるってわかってたからね」
 
:「阿吽が…ね。わかるっていうのもあるし、今回聞いていてヒップホップと違うなと思っていて、なんでヒップホップと違うなって思ったかっていうと、無理やりではないんだろうけど、意図せずなのかはわからないけどあまり韻を踏んでいる感じがしなかったんだよね」
 
:「踏んではいるけど「踏むぞ!」っていうのはあんまりないかな」
 
:「そうそう。だから思いっきりヒップホップを聴いてる感じではないんだよ。心情吐露であって、それがヒップホップ的な形になっているだけであって、スタイル的には韻を強調していないからヒップホップに感じない。個人的にはヒップホップを聞かない人も聞けるんじゃないかなというところはある」
 
:「誰でも聴けるだろ!という感じがすごくするんだよね。」
 
:「ラップだけが残ったような」
 
:「別にどこのコミュニティに属してるわけでもない、聞いたときに最初ジャンルが”ヱスケー"だと思った。」
 
:「前に作った『忘れたいことばかり覚えてる』で自分の方向は固まったかも。こういうのが自分に合ってるなと」
 
:「でもね、やっぱりdizさんが入るとディープになりやすいでしょ」
 
:「そうそう」
 
:「良い意味なんだけどね。でも今回はそこまでディープになってない。それはやっぱり歌が入ってるからだと思うんだよね。歌が入ることによって一つのポップスとして成立しているんだろうなと思ったんだよね」
 
:「この曲で歌ったら比率的にちょうど良いかなっていうのはあった」
 
:「そうだね。で、のちに触れる靴下履かない兄弟の曲もあるのでそれを踏まえて次に行きましょうか」
 
 
 
6. 気持ちをちぎって捨てたくなる
 
 
 
:「この曲を表題曲にするだけあるなと思いました。何故かっていうとここまで自分の考えていることをアウトプットできるのはすごいぞと思って。なかなかできることじゃないよ」
 
:「自分では書いていて コレって伝わるのかな…と思ってたんだよ」
 
:「若い人にはわかると思うよ。ただね、おっさんは逆にわからないかもしれない。平成生まれの奴らの方がわかるんじゃないかなあ」
 
:「あの曲の最後で”お前は誰だってそうだと言うけどその言葉一つで冷めてしまうよ”って言ってるんだけど、それは昔付き合ってた人に言われた言葉でさ、俺が何を言っても「誰だってそうだよ〜」って言うもんだから、じゃあ俺ってなんだ?ってなっちゃって。誰だってそうなら俺じゃなくてもいいじゃんって」
 
:「わかるよ」
 
:「そうかもしれないけど、俺を見ろ!と…」
 
:「あなたの言い方次第ではなくてこちらの受け取り方次第だよっていうことを言いたかったわけだよね」
 
:「そうそう」
 
:「でさ、あの曲もほぼ韻踏んでなかったでしょ?」
 
:「うーん文章の流れでリズムとして踏むのはあるけど強調する感じのは確かにほとんどないかな」
 
:「ヒップホップのスタイルの一つなんだろうけど韻をそこまで踏んでないから感情吐露がうまくいっている感じはあるよね」
 
:「そっちの方が聞きやすいのかな?ポエトリー的というか」
 
:「そう!ポエトリー!それが言いたかったんだよ」
 
:「前にたまちゃん( tamadrow )と作った『CHIME』でブックオフで適当に買った小説の文章を継ぎ接ぎにしてカットアップ技法みたいなことをして、それを無理やりラップ風に読むっていうのをやってさ、その時に韻を意識した文章だとかラップ用の文章じゃなくてもラップにできるし、自分が読めば自分らしくなるなと実感した流れがあるからこうなってるんだと思う」
 
:「カットアップてさ、バロウズブライオン・ガイシンって画家に「絵を描いてた新聞紙を切ってめくったら面白い言葉が出てきた」って説明したっていう経緯だよね」
 
:「俺 シロシビンズにそれを聞いて面白いなってずっと頭にあってそれでそれっぽいことを試してみたんだよ」
 
:「あれ、俺言ったっけ?たまちゃんに言ってたからそこからかと」
 
:「まあ、たぶんね」
 
:「でもこの曲も暗くはないよね」
 
:「でも明るくもないでしょ」
 
:「そう、明るくはないんだけど…というか明るかったらいけない気がするんだよね。あそこら辺の湿り具合がやっぱり良いよね若い人って多感な頃 湿ってるじゃない。でも年取ると湿らなくなるじゃん。自分が信用できなかったりするでしょ?俺はここ数年自分を信用できたことなんてなくて、これからの若い子は自分に自信を持てるかと言ったら持てないやつの方が多い気がするんだよ」
 
:「それが日本人っぽさなんだと思うけどね」
 
 
 
7. 僕はまたこんなことを言う feat. シロシビンズ
 
 
:「で、次が…」
 
:「『僕はまたこんなことを言う』。前にタブラ叩いてもらったやつのremaster」
 
:「これは良いremasterだよね」
 
:「ボーカルをアルバム用に録り直そうと思ったんだけど、やっぱり初期衝動って強いじゃない。」
 
:「強い強い」
 
:「今やり直すと技術が上がってる分 小慣れた感じになってしまう。初期衝動の勢いを残したいなって思ってさ。」
 
:「変に学習すると怖いよね」
 
:「そうそうそう。だから一回できたのはそれで終わりにしたいんだけど、まだ良くなる余地があったからミックスし直してハイハットの音色を変えて…」
 
:「タブラもちょっと抑えてるよね」
 
:「どうだったかな。空間系のプラグイン入たからそれもあるかも。聴きやすくなったなと思う」
 
:「聴きやすくなってたしタブラの違和感もなかった。あれはかなり叩いてる方だし 3曲目もさ、一応打ち込みだけどタブラの音を提供したじゃない。やっぱり打ち込みと生演奏は違うよねー」
 
:「まあ違うね」
 
:「だからその違いもあって『いい感じ』のタブラも打ち込みの味としてそれはそれで良くて、生の演奏の方はブレイクからバタバタッと叩くところとかさ、あの辺は生じゃないと無理なので…あのー…やっぱりあそこで叩いている人は上手ですね…」
 
笑「そうだねえ。dizとメガネにもアルバム聞いてもらったけど『僕はまたこんなことを言う』が一番良いって。タブラがかっこいいってさ」
 
:「タブラをチューニングした記憶があって、だから良いのかも。途中でさ「ドゥンドゥンドゥン」ってタブラの”ゲ”って音ね。それの連符とかグイグイ出してるけど ”どタブラ"って感じでもなくてあのマスタリングは成功してるし音がくっきり離れていていい決断だったと思う。あれはすごくよかったね」
 
:「なんというか、汚し方がうまくなったんじゃないかな」
 
:「この音の割れ方かっこいいとかこれは良いノイズ、これはちょっと…とかあるよね」
 
:「あるある。ありますよ」
 
:「俺ね、ほぶらきんってバンドがすごい好きなんですよ。その人たちの『ああ我身に油を塗りて勇気百倍,真っ先かけて突撃せん』って曲のイントロで完全にテープの「ブチッ」って言ってる音が入ってて、それがね、すげー好き。」
 
:「こういうのってフェチだよね」
 
:「こういう話すると「お前ドミューンみたいなこと言うな」って言われるんだよ。お前の例えるミュージシャン サブカル系ばっかだなって」
 
 
 
8. 逃げろ feat. ここせまみ & オオヤヨシツグ
 
 
 
:「まず最初のヱスケーからescapeまでのコラージュを聞いてねヤン富田を思い出したの。」
 
:「うん」(よくわかってない)
 
:「『Love』って曲があるんですよ。(DOOPEES名義)どういう曲かって言うとね、いろんな曲の”Love"って言ってる部分を切り取っただけっていう曲なんですよ。もうめちゃめちゃなの。カオスなんだけど、それに似たものを感じて…ヱスケー…ヱスケー…って、たぶんあれ色んなところから引っ張ってきたんだよね?」
 
:「今まで作った曲の中から俺の名前歌ってるところを切り取ったのがメインで他に何個か〜って感じかな」
 
:「外人の声は?」
 
:「テキストスピーチだね」
 
:「テキストスピーチいいよねぇ。俺初音ミクより大好き」
 
:「最初は頭のヱスケー〜っていうのがなくて…」
 
:「それだとたぶんショボいんだよ」
 
:「そうそう やっぱり入口がね。大事だよ」
 
:「でもあの展開はすごいよね。あれ有線で流れても違和感ないんじゃないかな。コードがメジャーだから聞きやすいのと音がちょっとオシャレじゃない。ちょっとアッパーな」
 
:「これはちょっとポップにしようと思って」
 
:「一番シングルっぽい曲だね。BPMが早いのもあるのかなーサビの「逃げろー」を合わせる感じもすごくよかったよ。冒頭のヱスケー〜のサンプリングからescapeに移るところ、逃げろってことでしょ?これは上手いなあって」
 
:「でね、ここせまみさんとメガネさんの声がちょっと似てるんですよ。似てるんだけどやっぱりそのー、音の周波数的にはすごい似てるんだけどトーンが違うので…ここせまみさんの方が弱い女の子の感じ。病気がちな…血圧低くて朝眠い…みたいなね。健気な感じがあるね」
 
:  笑
 
:「最後のオオヤヨシツグさん。あの人は上手だね」
 
:「発声がかっこいいんですよ」
 
:「くっきりしてる上にダサくないんですよ。あれは抜群だったね いいバトンタッチだよ。そしてオオヤさんのパートがアルバムの中で一番テンションが高いという…笑」
 
:「最初はあの二人を別の曲でって考えてたんだけどこの二人合わせてみたら面白そうだなって。テーマ的にも二人が合いそうな内容だった」
 
:「逃げろ逃げろって何度も繰り返すところもそうなんだけど、三人ありきって感じがするんだよね」
 
 
 
 
9. 家がいい feat. K.H.BROTHERS
 
 
 
 
:「まずはね、ダジャレですよ。家がyeahって言ってんじゃん。それがすごい良くてさ」
 
:「まあ元ネタあるんだけどね」
 
:「歌詞は各々で考えてるの?」
 
:「そうそう」
 
:「メガネさんの、"自分の家で食べるおにぎりが美味しい"っていうさあ…すごいよね。」
 
:「おにぎりを家で食べるんだなあ」
 
:「なんかさあ、感覚が新しくない?すごい面白いこと書くなあって」
 
:「俺もそこ気になってた。それでバース終わるしね」
 
:「でもね、本当に…家がいいんですよ。伝わってくるんだよ」
 
:「みんなインドア派だから」
 
:「最初聞いたときにいいなあ…うまいこと考えるよなあって」
 
:「暗くはないけどテンション低めな曲が多かったからゆるいのを作りたかった」
 
:「そう!そのね〜ゆるさがいいんだよね。さすが三人で活動してるだけあって呼吸あってるから」
 
:「そうね」
 
:「でさ、曲ごとにさあ 前のに似てるっていうのがないじゃない。それも結構すごくない?」
 
:「それは気を付けてたからね」
 
:「気を付けた」
 
:「うん。並びとかもね」
 
:「相当曲順考えた?」
 
:「考えたね〜」
 
:「スムーズに聞けるもんなあ」
 
:「曲順を考えるのって思い返してみたら昔MDを使ってて、MDの曲順考えるのがめちゃくちゃ好きでケツを何秒か削ったりとか、この終わりの音と この始まりの音は繋がるとかそういうことをやってたんだよね。その時から曲順って気にするようになったと思う」
 
:「曲順ね〜あれって殆ど出来てから決めたって感じなの?」
 
:「出来てからもあるし、この曲の次はこういう曲があった方がいいって作るのもあったかな」
 
:「最後にできたのはどの曲?」
 
:「10曲目の帰り道」
 
:「あ〜家がいい の次が帰り道だ!」
 
:「そうそう。家がいいの最後にさ、余韻みたいな部分があってそこに適当に喋りを入れてくれって伝えて、データ聞いたらどっかで外食してる感じでさ。そこに俺も声を重ねて最後は「もう帰ろうよ〜」って終わるんだけど、じゃあ次の曲は家に帰る曲だなと」
 
:「そうなんだ!」
 
 
 
 
10. 帰り道
 
 
 
:「これもメランコリーなんですよね。 "ネットじゃなくて人と話したいなあ"って、そこですよね。俺がやるんだったら「お前ら外でろバカ!」って言うもんね。「外でて喋れよお前らさあ…」って」
 
:  笑
 
:「ネットに書くことと人に話すのではやっぱり違うよね。外で喋ったことってさ、やっぱり何かに繋がっていくじゃん。だからいい歌詞だなって」
 
:「仕事帰りのイメージだけど時間帯とか自分とは別の話になってる」
 
:”15時に起きて16時に家を出る〜”って『気持ちをちぎって捨てたくなる』の歌詞だっけ?その『気持ちをちぎって捨てたくなる』よりは軽いほうだよね」
 
:「そうそう。この曲の後がremixだからこれで終わってもいいし、次に行ってもいいしっていう…後は家に近づいていくにつれて経過する時間を書きたかった。少し救いも欲しかったんだよね」
 
 
 
 
11.辻褄 (6000 remix)
 
 
 
 
:「これは〜誰のremixだっけ」
 
:6000(ろくせん)だね」
 
:「ああそう読むのか。何て読むのかなーって」
 
:「俺はそう呼んでる。アメリカの人だよ。日本人だけど」
 
:「えっアメリカ!?」
 
:「最初聞いてね、あのラインだけのギターにやられたっていうのとドラムのビートがフュージョンっぽいよね。」
 
:「頼む時にシティポップっぽい感じでって頼んだかな。上手くできなかったからビート再構築してくださいって」
 
:「ゴツいビートは入ってないよね。それでギターがすごくいい。リズムとちょっとズレてたりするけどそれでいいんだよ。で、ギターが上手いよね 変にソロを入れないところがいい」
 
:「上手いよね。素人が聞いても上手いのがわかる。音色が良かったし」
 
:「ファンクも入ってるしやっぱりフュージョン…ポップなほうのハードロックとかそこら辺の感じがある」
 
:「ドラムがバンドやってる人の打ち込みだよね」
 
:「そう。ドラムのオカズが完全にバンドのそれなんだよ」
 
:「俺は絶対できないやつ。だから面白い」
 
:「今までのミニマルビートじゃないんだよね」
 
:「あれはバンドやってないと出ない発想だから、あれを聞いた時 一瞬なんだよ!?ってなったよね。びっくりした。ギターが生だっていうのもあって…たぶんみんな普通は歪ませたいんだよ。でも歪ませないところに男気を感じる」
 
:「サビの展開もね〜ここからテンション上がるのかな?って思ったら抑えめになってドゥッ、ドゥッドゥッドゥッ…ってさあ。こういうやり方があるんだって…やられたね」
 
:「そうそうオシャレなんですよ。でもなんか懐かしいのよ。昔のロックの感じとかそういう匂いがする。古臭いわけではなくてリバイバル的な、それがすごく良かった」
 
 
 
 
12. いい感じ (tamadrow remix)
 
 
 
:「これはね、10分くらいあっても良かった」
 
:「もっと長くて良かったと」
 
:「うん。あれね、短くなくて良かったと思うのよ これはアンビエントに近いなと思った。」
 
:「特に指定はしていなくて自由にやってくれと頼んだ。俺のラップは使わなくてもいいですとは言った」
 
:「たまちゃん( tamadrow )の作るのってビートデカくないんですよ。ビートっつかパーカッションもそうなんだけど、どっちかっていうとギターかシンセか。あとはバスドラがズンッて鳴ったりとかあんまりないでしょ?クラップが多いよね」
 
:「うんうん」
 
:「どっちかというと俺のほうがビート強いの作るんだよ。だからそこでもうちょっとベース太かったらダブっぽいよなとか思うんだけど、最終的にさ 歌詞の一部の「ダメで〜」ってところをサンプリングしていて、しかもそこを上にあげてないんだよ 下げてやってるからそこがchill waveとかvapor waveの手法に似ていてこれは逆に短いとどうだ…?ってさ」
 
:「たしかにこの感じだと長くても全然聞けるよなあ」
 
:「うん。余韻としては5分あっても良かったって感じはする。食後のデザートっぽいもんね」
 
:「あと歌詞の切り取り方が面白いよね」
 
:「うん。そして唯一聞きたいのは何ミックスだったんだっていう。ダブにしたかったのか、vaporにしたかったのか、それとも自分のremixをしたらそうなったのか…でもやっぱりシンセの使い方はあの人だなあ…ホワ〜ンとしたパッドとかね。シンセリード使わないところとかシンセベースもあんまり太いの作らないでしょ」
 
:「そうだねえ」
 
:「あの人は90年代方面が好きだし、あとエレクトロニカが好きだしね。」
 
:「最後の方、空間行き来する細かいシンセとか、っぽいなあって…」
 
:「そうそう」
 
:「あと単純にね、シロシビンズとtamadrowをくっつけたかったてのもあるのよ」
 
:「あ、そうなの?」
 
:「実はね 笑」
 
 

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トイレを我慢しているヱスケー

 
 
 
最後に−
 
:「でね、すべての楽曲を聴いて感想とか解説を入れていきましたが…なんでインタビューをしようって言ったかって話なんだけど、やっぱり面白かったからインタビューするわけであって、聞いて欲しいからなんだよね」
 
:「うんうん」
 
:「形にして こうやってネットで発信するのは聞いて欲しいからだし、だから解説するし、解説してもらいたいし、自分はこう思ったけど他の人はどうなのかな?ってところもあるし そこだね。」
 
:「そうだねえ」
 
:「で、リリース形態はどうなるの?今回はフリーではないんだよね?」
 
:「今回はiTunesApple MUSICだね。」
 
:「つまりカッチリとした作品でちゃんとお金取れますよっていうさ、なんていうか考えて作ってるからちゃんと聞いて欲しいよね。そこは」
 
:「ちなみにiTunesで12曲450円です」
 
:「この価格で渋る奴とか死ねばいいってぐらい安い」
 
:  笑「安く売るのがダサいって人もいるかもしれないけど逆にこの値段でこのくらいのクォリティは出せますっていう提示でもある。」(なぜか強気)
 
:「値段設定聞いてね、なるほど偉いなあと思ったんだけど、俺さ一回アルバムをiTunesで出した時に一曲100円の12曲入りで1200円にしたの。それでも周りに安すぎるって言われたの 自分でもこれだったら自分で買う価値あると思ったんだけど売れなかったんだよ。でもあの、450円であのボリュームでしょ?で35分だから…買う価値ありですよね。本当に」
 
:  笑「安いのってかっこいいなって思って、外人がめちゃくちゃクオリティ高いビートを1ドルとかで売ってるのもあるし、身近なところでdizが200円でミニアルバム売ってるのもあって、そもそもこの人たちがこの値段で売ってるのに俺が1000円オーバーで出すなんて変な話ですよ」
 
:「値段相応なことやれよって話でしょ。その服お前に合ってないよってさ。ていうかヱスケーの作品今まで聞いてきて450円で買わないのって嘘なんじゃないのって思う。」
 
:「俺はね、努力の凝縮は450円になっているって思うね」
 
「それかっこいいね」
 
 
 
 
ヱスケー『気持ちをちぎって捨てたくなる』

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「聴き手の心に鋭く刺さる慎ましい人間の主張、日常、感情。」 by LARGE IRON
 
 
2018.01.07
リリース 
 
iTunes & Apple MUSIC
▷アルバム価格
12曲 / 36分/¥450
 
 
---それに合わせて
アルバムをより楽しむ為の補完データをフリーDLで出したのでこちらも是非。
アルバムを聞く前の体験版としても使えるかと…
[収録内容]
・『気持ちをちぎって捨てたくなる』歌詞
・『気持ちをちぎって捨てたくなる』レビュー
・『気持ちをちぎって捨てたくなる』印刷用ジャケットデータ
・帰り道 (作詞 : MC松島ver.)mp3
・いい感じ feat. mukuchi (inst)mp3
・参加者名簿
・アートワーク
 
 
 
 
 
 
書き起こした文字を見て自身の口の悪さに気付くシロシビンズ
 
 
 
 
 
 
-聞いた人-
シロシビンズ
北海道の音楽家、タブラ奏者。
2010年にバンドとして活動開始。現在はバンド名「シロシビンズ」を個人名にしイラストや漫画、デザインまでその全てを独自のセンスで制作。様々なジャンルに精通し唯一無二の作品を作り続けている。ヱスケーとは大学時代にtamadrowを通じて知り合い 以来度々活動を共にする。今回の対談で一年ぶりに再会した
 
 
 
-聞かれた人-
ヱスケー
2010年に地元の友人mgmとK.H.BROTHERSを結成。現在はdiz、メガネが加入し4人での活動に
今年MC松島主宰の音楽レーベル トウキョウトガリネズミに加入。今回個人名義では初となる公式リリースとなるアルバム『気持ちをちぎって捨てたくなる』を制作した。チープなサウンドとノイズが好き 喋るのが苦手