ヱスケー × シロシビンズ 『気持ちをちぎって捨てたくなる』を語る
2018年01月07日にリリースされるヱスケーのニューアルバム(通称ヱバム)
『気持ちをちぎって捨てたくなる』
アルバム参加者でもあるシロシビンズが急遽インタビューを敢行!
執拗に聞いてきたので渋々答えたぞ!なんと全曲解説!
もしかしてこれって自分で書き起こすのかなり恥ずかしいんじゃないか?
(最後に作品のリンクあるから見てくれ)
『努力の凝縮は450円になっている 』
by シロシビンズ
diz × ヱスケー『郊外ブルー』を手にご機嫌なシロシビンズ。こちらもよろしく
まずは経緯から−
シロシビンズ(以下 シ) :「早速だけど 今回のアルバムを作ることになった経緯は?依頼があったの?」
ヱスケー(以下 ヱ) :「特別依頼があったわけではなくて、アルバムを作ろうという意識もなかった。3曲目の『いい感じ』に参加してくれたmukuchiさんと曲を作りたいなと思って…当初はその一曲のみ配信しようとしていたんだけど その作業が難航して半年くらいかかってしまった。」
シ :「わかるわかる。創作の便秘」
ヱ :「そうそう」
シ :「今出すタイミングじゃないな〜みたいな」
ヱ :「っていうのもあるし 全く歌詞が書けなかった。最終的にはデモから大きく変わったんだけど、展開も思いつかなかった。ラップ→女性シンガーサビ→ラップ〜みたいなよくある展開にもしたくなかったし。R&B的ではない女性ボーカルが欲しくて…」
シ :「ああ、大黒摩季みたいな、ブスだけど性欲すごいっていう笑 そういう人だと変にソウルフルにしてくるしさ…」
ヱ :「自分のテンションに合う人を探してたんだよね」
シ :「うんうん」
ヱ :「初めはこの人Twitter面白いな〜と思って見ていて、勝手にテンションが合うなあとかシンパシーを感じていて…で、曲作ってるんだーと気付いて聞いてみたらめちゃくちゃ良くて。そこの感性は同じっていうか、いい感じの人だなと思ったら作っているものもやっぱりいいんだよね」
シ :「やっぱりさあ、Twitterでつまらない人は作ってるものも面白くないんだよ」
ヱ : 「『いい感じ』で迷ってる合間に息抜きで作った曲を後から聞いてみるとテンションが合っていたのでアルバムできるなあと」
シ :「『いい感じ』を作っていく過程でできた曲が結果的にアルバムになっていったわけだ」
順を追って解説
1. intro
シ :「アルバムを作った経緯は聞いたので一曲目から順に聞いていきます。」
ヱ :「まずはintroか」
シ :「introは余興っていうことでもないんだけれど、トラックがあって最後に咳が入っているよね。普通のイントロダクションというわけではないけれど、はじめに軽めの短いものを入れようと思って作ったわけ?」
ヱ :「元々あのビートがあって分数も長かった。それを縮めてあのサイズにした。歌も入れようかと思ったけど最初から歌があると邪魔くさいなって、入り口を整えたくて…最後に次の入りを意識させるために咳だけ入れた。昔のラッパーがよくやってる感じの、好きなんだよ」
シ :「あの導入は面白いよね。ラップ的側面ではないと感じたけれど、俺が良くやってる作風に似てるかもっていう。俺も最後に咳入れたりっていうのはよくやるので」
シ :「要はカーテン開けて舞台見せますよ〜ってことだよね」
2. 飲み会は早めに帰る
シ :「で、二曲目が…」
ヱ :「飲み会は早めに帰る」
シ :「あれは あるあると言えばあるあるだよね。わかり易く言うと飲み会行きたくないあるある…そして断れないあるある…」
ヱ :「そうそうそう…」
シ :「だから内容としては一番共感を得やすいところで、俺が一番好きなのは最後の語りのところ」
ヱ :「あ〜笑」
シ :「子供ができたら飲み会断れる子供に育てよう…飲み会行きたくねぇ!っていう子供に育てよう…えっ!それ前提で子供作るの!?っていう笑」
ヱ :「まあ自分ができなかったことを子供に託すってやつですよ」
シ :「飲み会を断れる子供に育てる局所的な目標…」
ヱ :「たしかにねぇ笑」
シ :「うん。そこがね、おもしろかったです。メッセージ性が全くないというか…ギャグテイストというかそこらへんが入っていて良かったです」
シ :「あと"勿体無いよね↑"っていうイントネーションが…」
ヱ :「訛ってるようなね」
シ :「メガネさんのリリースパーティーで「メガネちゃんリリースおめでとうって言った時の はんなり感?が出た時を思い出した」
(ボツテイクでなぜか関西訛りでしゃべってしまったとことがあった)
ヱ :「なんで出ちゃうんだろうね。今までそんな喋り方したことないのにさ、恥ずかしい〜〜」
ヱ :「とりあえず愚痴言うだけじゃつまらないから曲にしましたっていうやつだから」
シ :「行っちゃうんだけどやっぱり一次会で帰るっていう…帰ったあともブルーなのはなぜかっていうとさ、飲み会だから相手に合わせて自分のいつも出さない部分を出しちゃえみたいな。それを振り返ってブルーになるってところもあるわけでしょ?」
ヱ :「うん。後ろめたさとかね〜帰っちゃった…とか」
シ :「余計なこと言わなきゃ良かった〜とかね」
ヱ :「そうそう、曲の中でも言ってるけど"その場にいることの プラスよりも 酔って余計なこと言う リスクが高い”んだよ。実際に口滑らせちゃうし」
シ :「それしか機会がないから…とか仕事じゃないからいいや!っていう精神的働きがあるのかな?でも会社に忠誠尽くしてますって感じを出さないといけないし」
ヱ :「飲み会は早めに帰るを作ったのがほぼ1年前くらい。最近は断れるようになってきた。成長したよ」
3. いい感じ feat. mukuchi
ヱ :「元々映画のタイトルからとって深呼吸の必要にしようかと、それを縮めて深呼吸にしていて。でもmukuchiさんから歌のデータが来て「ダメで元々いい感じ〜♪」っていうフレーズがすごく良くて、『いい感じ』というタイトルにしました」
シ :「いいと思う。向こうに内容を寄せた感じなのかな」
ヱ :「データを頼む時に自分のラップが入った状態で渡して、これに寄せた内容で「良いこともないけどそんなに悪くもない」って内容にして欲しいと言った。マイナス風だけどそうでもないくらいのテンション」
シ :「ロートーンでくださいって感じかな」
ヱ :「そうそう。冷めながらも前向きなんだよ」
シ :「タイトル通り”いい感じ"だよね。3曲目というチョイスも良かった」
ヱ :「とにかくmukuchiさんの声がいいんですよ。歌詞も他では見ない言葉の並び」
4. 天気のいい日は昼寝に限る
シ :「これ聞きたかったんだけどさ、あれって本当に自分の寝てる時間の音声?」
ヱ :「そう」
シ :「あ、やっぱそうなんだ!何かがないとわざわざインストを入れないだろうって思ったの。歌がいらないからインストって場合もあり得るんだけども、ただ、昼寝ってところで宅録でしょ?」
ヱ :「うん」
シ :「宅録で”昼寝”ってところで思ったのよ。やっぱりこれって昼寝の時のサウンド入れてるんじゃないか?って。自分も昔『外』って曲作ってさ、それがなんで外かって言ったら外の音を入れたから『外』っていう笑」
シ :「あれは昼寝している時間 外はこうなってるぞってことなわけだよね」
ヱ :「そうなの。俺は今夜中働いてて日中寝てるんだけど、そうすると本当に子供がうるさいの!もうこれは曲にしてやろうと思って。単純に昼寝する時に外の音を録音しながら寝た」
シ :「ドキュメントだよね」
ヱ :「ちょっとしたね。昼寝の間のドキュメンタリーだね」
ヱ :「実は子供の声か石焼き芋の音声か迷って、まあ子供の声にしたんだけど」
シ :「ベタだから?」
ヱ :「ちょっと恥ずかしいなって」
シ :「あー…わかるわかる。狙いすぎかもってね」
5. まんねん feat. diz
シ :「これは ほぼdizさん先行…?これは共作?」
ヱ :「そうだね。なにも考えずに作り出して「これはあいつに合うぞ」ってなって。まぁあの人に頼む時点である程度のクォリティは保障されているわけなんだけど。それでサビを先に録ってこれに合わせてラップしてよと」
シ :「dizさんはね、声のトーンとか、その時点でかなりインパクトがあるよね。存在感がすごいんだよね」
ヱ :「今までdizやメガネは自分の曲には呼ばないようにしていた。向こうに呼ばれたらやるけど…っていうのはあの人たちの集客力で人を集めても意味がないというか」
シ :「ネームバリューを借りたくない」
ヱ :「そう。それもあって自分がもっと頑張らないと、それに負けないくらいにならないと意味がないなと思っていた。ようやく最近になって そろそろいいんじゃないかと思えるところまで来た」
シ :「三人でチャックDに呼ばれたんですからね」
ヱ : 笑「ことあるごとに言ってる」
シ :「人々の敵でしょ?」
ヱ :「すごい名前だよね」
ヱ :「最初はサビの歌詞からとって『聞こえない』というタイトルだった。でもdizが書いてきた歌詞の冒頭で"なに言ってまんねんから何年…"っていうのがなんか面白くて…」
シ :「あーあーそうだ!言ってたねぇ笑」
ヱ :「dizさんが友達に「俺ラップやるわ」って言ったら「なに言ってまんねん」みたいなこと言われた…って言ってて」
シ :「なんだろう…あの、"なに言ってまんねん”?関西バラエティみたいな」
ヱ : 笑
シ :「上沼恵美子が司会のローカルバラエティって感じがすごいよね。寒いノリをワザとやりましたっていう。」
シ :「でも、まんねんのあの比重だとdizさんに食われちゃうよなあ。でもそういうのも一個あってもいいよね」
ヱ :「うん。まあそのつもりで作ってるしね。内容が"近所も遠方も一緒”とか俺が思ってることを言ってくれたりさ 代弁してもらう部分はあった」
シ :「これってパソコンが同じじゃない。脳のパソコンがさ。脳のOSが同じだからさ」
ヱ :「もういいのができるってわかってたからね」
シ :「阿吽が…ね。わかるっていうのもあるし、今回聞いていてヒップホップと違うなと思っていて、なんでヒップホップと違うなって思ったかっていうと、無理やりではないんだろうけど、意図せずなのかはわからないけどあまり韻を踏んでいる感じがしなかったんだよね」
ヱ :「踏んではいるけど「踏むぞ!」っていうのはあんまりないかな」
シ :「そうそう。だから思いっきりヒップホップを聴いてる感じではないんだよ。心情吐露であって、それがヒップホップ的な形になっているだけであって、スタイル的には韻を強調していないからヒップホップに感じない。個人的にはヒップホップを聞かない人も聞けるんじゃないかなというところはある」
シ :「誰でも聴けるだろ!という感じがすごくするんだよね。」
ヱ :「ラップだけが残ったような」
シ :「別にどこのコミュニティに属してるわけでもない、聞いたときに最初ジャンルが”ヱスケー"だと思った。」
ヱ :「前に作った『忘れたいことばかり覚えてる』で自分の方向は固まったかも。こういうのが自分に合ってるなと」
シ :「でもね、やっぱりdizさんが入るとディープになりやすいでしょ」
ヱ :「そうそう」
シ :「良い意味なんだけどね。でも今回はそこまでディープになってない。それはやっぱり歌が入ってるからだと思うんだよね。歌が入ることによって一つのポップスとして成立しているんだろうなと思ったんだよね」
ヱ :「この曲で歌ったら比率的にちょうど良いかなっていうのはあった」
シ :「そうだね。で、のちに触れる靴下履かない兄弟の曲もあるのでそれを踏まえて次に行きましょうか」
6. 気持ちをちぎって捨てたくなる
シ :「この曲を表題曲にするだけあるなと思いました。何故かっていうとここまで自分の考えていることをアウトプットできるのはすごいぞと思って。なかなかできることじゃないよ」
ヱ :「自分では書いていて コレって伝わるのかな…と思ってたんだよ」
シ :「若い人にはわかると思うよ。ただね、おっさんは逆にわからないかもしれない。平成生まれの奴らの方がわかるんじゃないかなあ」
ヱ :「あの曲の最後で”お前は誰だってそうだと言うけどその言葉一つで冷めてしまうよ”って言ってるんだけど、それは昔付き合ってた人に言われた言葉でさ、俺が何を言っても「誰だってそうだよ〜」って言うもんだから、じゃあ俺ってなんだ?ってなっちゃって。誰だってそうなら俺じゃなくてもいいじゃんって」
シ :「わかるよ」
ヱ :「そうかもしれないけど、俺を見ろ!と…」
シ :「あなたの言い方次第ではなくてこちらの受け取り方次第だよっていうことを言いたかったわけだよね」
ヱ :「そうそう」
シ :「でさ、あの曲もほぼ韻踏んでなかったでしょ?」
ヱ :「うーん文章の流れでリズムとして踏むのはあるけど強調する感じのは確かにほとんどないかな」
シ :「ヒップホップのスタイルの一つなんだろうけど韻をそこまで踏んでないから感情吐露がうまくいっている感じはあるよね」
ヱ :「そっちの方が聞きやすいのかな?ポエトリー的というか」
シ :「そう!ポエトリー!それが言いたかったんだよ」
ヱ :「前にたまちゃん( tamadrow )と作った『CHIME』でブックオフで適当に買った小説の文章を継ぎ接ぎにしてカットアップ技法みたいなことをして、それを無理やりラップ風に読むっていうのをやってさ、その時に韻を意識した文章だとかラップ用の文章じゃなくてもラップにできるし、自分が読めば自分らしくなるなと実感した流れがあるからこうなってるんだと思う」
ヱ :「俺 シロシビンズにそれを聞いて面白いなってずっと頭にあってそれでそれっぽいことを試してみたんだよ」
シ :「あれ、俺言ったっけ?たまちゃんに言ってたからそこからかと」
ヱ :「まあ、たぶんね」
シ :「でもこの曲も暗くはないよね」
ヱ :「でも明るくもないでしょ」
シ :「そう、明るくはないんだけど…というか明るかったらいけない気がするんだよね。あそこら辺の湿り具合がやっぱり良いよね若い人って多感な頃 湿ってるじゃない。でも年取ると湿らなくなるじゃん。自分が信用できなかったりするでしょ?俺はここ数年自分を信用できたことなんてなくて、これからの若い子は自分に自信を持てるかと言ったら持てないやつの方が多い気がするんだよ」
ヱ :「それが日本人っぽさなんだと思うけどね」
7. 僕はまたこんなことを言う feat. シロシビンズ
シ :「で、次が…」
ヱ :「『僕はまたこんなことを言う』。前にタブラ叩いてもらったやつのremaster」
シ :「これは良いremasterだよね」
ヱ :「ボーカルをアルバム用に録り直そうと思ったんだけど、やっぱり初期衝動って強いじゃない。」
シ :「強い強い」
ヱ :「今やり直すと技術が上がってる分 小慣れた感じになってしまう。初期衝動の勢いを残したいなって思ってさ。」
シ :「変に学習すると怖いよね」
シ :「タブラもちょっと抑えてるよね」
ヱ :「どうだったかな。空間系のプラグイン入たからそれもあるかも。聴きやすくなったなと思う」
シ :「聴きやすくなってたしタブラの違和感もなかった。あれはかなり叩いてる方だし 3曲目もさ、一応打ち込みだけどタブラの音を提供したじゃない。やっぱり打ち込みと生演奏は違うよねー」
ヱ :「まあ違うね」
シ :「だからその違いもあって『いい感じ』のタブラも打ち込みの味としてそれはそれで良くて、生の演奏の方はブレイクからバタバタッと叩くところとかさ、あの辺は生じゃないと無理なので…あのー…やっぱりあそこで叩いている人は上手ですね…」
ヱ : 笑「そうだねえ。dizとメガネにもアルバム聞いてもらったけど『僕はまたこんなことを言う』が一番良いって。タブラがかっこいいってさ」
シ :「タブラをチューニングした記憶があって、だから良いのかも。途中でさ「ドゥンドゥンドゥン」ってタブラの”ゲ”って音ね。それの連符とかグイグイ出してるけど ”どタブラ"って感じでもなくてあのマスタリングは成功してるし音がくっきり離れていていい決断だったと思う。あれはすごくよかったね」
シ :「なんというか、汚し方がうまくなったんじゃないかな」
ヱ :「この音の割れ方かっこいいとかこれは良いノイズ、これはちょっと…とかあるよね」
シ :「あるある。ありますよ」
シ :「俺ね、ほぶらきんってバンドがすごい好きなんですよ。その人たちの『ああ我身に油を塗りて勇気百倍,真っ先かけて突撃せん』って曲のイントロで完全にテープの「ブチッ」って言ってる音が入ってて、それがね、すげー好き。」
ヱ :「こういうのってフェチだよね」
シ :「こういう話すると「お前ドミューンみたいなこと言うな」って言われるんだよ。お前の例えるミュージシャン サブカル系ばっかだなって」
8. 逃げろ feat. ここせまみ & オオヤヨシツグ
シ :「まず最初のヱスケーからescapeまでのコラージュを聞いてねヤン富田を思い出したの。」
ヱ :「うん」(よくわかってない)
シ :「『Love』って曲があるんですよ。(DOOPEES名義)どういう曲かって言うとね、いろんな曲の”Love"って言ってる部分を切り取っただけっていう曲なんですよ。もうめちゃめちゃなの。カオスなんだけど、それに似たものを感じて…ヱスケー…ヱスケー…って、たぶんあれ色んなところから引っ張ってきたんだよね?」
ヱ :「今まで作った曲の中から俺の名前歌ってるところを切り取ったのがメインで他に何個か〜って感じかな」
シ :「外人の声は?」
ヱ :「テキストスピーチだね」
シ :「テキストスピーチいいよねぇ。俺初音ミクより大好き」
ヱ :「最初は頭のヱスケー〜っていうのがなくて…」
シ :「それだとたぶんショボいんだよ」
ヱ :「そうそう やっぱり入口がね。大事だよ」
シ :「でもあの展開はすごいよね。あれ有線で流れても違和感ないんじゃないかな。コードがメジャーだから聞きやすいのと音がちょっとオシャレじゃない。ちょっとアッパーな」
ヱ :「これはちょっとポップにしようと思って」
シ :「一番シングルっぽい曲だね。BPMが早いのもあるのかなーサビの「逃げろー」を合わせる感じもすごくよかったよ。冒頭のヱスケー〜のサンプリングからescapeに移るところ、逃げろってことでしょ?これは上手いなあって」
シ :「でね、ここせまみさんとメガネさんの声がちょっと似てるんですよ。似てるんだけどやっぱりそのー、音の周波数的にはすごい似てるんだけどトーンが違うので…ここせまみさんの方が弱い女の子の感じ。病気がちな…血圧低くて朝眠い…みたいなね。健気な感じがあるね」
ヱ : 笑
シ :「最後のオオヤヨシツグさん。あの人は上手だね」
ヱ :「発声がかっこいいんですよ」
シ :「くっきりしてる上にダサくないんですよ。あれは抜群だったね いいバトンタッチだよ。そしてオオヤさんのパートがアルバムの中で一番テンションが高いという…笑」
ヱ :「最初はあの二人を別の曲でって考えてたんだけどこの二人合わせてみたら面白そうだなって。テーマ的にも二人が合いそうな内容だった」
シ :「逃げろ逃げろって何度も繰り返すところもそうなんだけど、三人ありきって感じがするんだよね」
9. 家がいい feat. K.H.BROTHERS
シ :「まずはね、ダジャレですよ。家がyeahって言ってんじゃん。それがすごい良くてさ」
ヱ :「まあ元ネタあるんだけどね」
シ :「歌詞は各々で考えてるの?」
ヱ :「そうそう」
シ :「メガネさんの、"自分の家で食べるおにぎりが美味しい"っていうさあ…すごいよね。」
ヱ :「おにぎりを家で食べるんだなあ」
シ :「なんかさあ、感覚が新しくない?すごい面白いこと書くなあって」
ヱ :「俺もそこ気になってた。それでバース終わるしね」
シ :「でもね、本当に…家がいいんですよ。伝わってくるんだよ」
ヱ :「みんなインドア派だから」
シ :「最初聞いたときにいいなあ…うまいこと考えるよなあって」
ヱ :「暗くはないけどテンション低めな曲が多かったからゆるいのを作りたかった」
シ :「そう!そのね〜ゆるさがいいんだよね。さすが三人で活動してるだけあって呼吸あってるから」
ヱ :「そうね」
シ :「でさ、曲ごとにさあ 前のに似てるっていうのがないじゃない。それも結構すごくない?」
ヱ :「それは気を付けてたからね」
シ :「気を付けた」
ヱ :「うん。並びとかもね」
シ :「相当曲順考えた?」
ヱ :「考えたね〜」
シ :「スムーズに聞けるもんなあ」
ヱ :「曲順を考えるのって思い返してみたら昔MDを使ってて、MDの曲順考えるのがめちゃくちゃ好きでケツを何秒か削ったりとか、この終わりの音と この始まりの音は繋がるとかそういうことをやってたんだよね。その時から曲順って気にするようになったと思う」
シ :「曲順ね〜あれって殆ど出来てから決めたって感じなの?」
ヱ :「出来てからもあるし、この曲の次はこういう曲があった方がいいって作るのもあったかな」
シ :「最後にできたのはどの曲?」
ヱ :「10曲目の帰り道」
シ :「あ〜家がいい の次が帰り道だ!」
ヱ :「そうそう。家がいいの最後にさ、余韻みたいな部分があってそこに適当に喋りを入れてくれって伝えて、データ聞いたらどっかで外食してる感じでさ。そこに俺も声を重ねて最後は「もう帰ろうよ〜」って終わるんだけど、じゃあ次の曲は家に帰る曲だなと」
シ :「そうなんだ!」
10. 帰り道
シ :「これもメランコリーなんですよね。 "ネットじゃなくて人と話したいなあ"って、そこですよね。俺がやるんだったら「お前ら外でろバカ!」って言うもんね。「外でて喋れよお前らさあ…」って」
ヱ : 笑
シ :「ネットに書くことと人に話すのではやっぱり違うよね。外で喋ったことってさ、やっぱり何かに繋がっていくじゃん。だからいい歌詞だなって」
ヱ :「仕事帰りのイメージだけど時間帯とか自分とは別の話になってる」
シ :「”15時に起きて16時に家を出る〜”って『気持ちをちぎって捨てたくなる』の歌詞だっけ?その『気持ちをちぎって捨てたくなる』よりは軽いほうだよね」
ヱ :「そうそう。この曲の後がremixだからこれで終わってもいいし、次に行ってもいいしっていう…後は家に近づいていくにつれて経過する時間を書きたかった。少し救いも欲しかったんだよね」
11.辻褄 (6000 remix)
シ :「これは〜誰のremixだっけ」
ヱ :「6000(ろくせん)だね」
シ :「ああそう読むのか。何て読むのかなーって」
ヱ :「俺はそう呼んでる。アメリカの人だよ。日本人だけど」
シ :「えっアメリカ!?」
シ :「最初聞いてね、あのラインだけのギターにやられたっていうのとドラムのビートがフュージョンっぽいよね。」
ヱ :「頼む時にシティポップっぽい感じでって頼んだかな。上手くできなかったからビート再構築してくださいって」
シ :「ゴツいビートは入ってないよね。それでギターがすごくいい。リズムとちょっとズレてたりするけどそれでいいんだよ。で、ギターが上手いよね 変にソロを入れないところがいい」
ヱ :「上手いよね。素人が聞いても上手いのがわかる。音色が良かったし」
シ :「ファンクも入ってるしやっぱりフュージョン…ポップなほうのハードロックとかそこら辺の感じがある」
ヱ :「ドラムがバンドやってる人の打ち込みだよね」
シ :「そう。ドラムのオカズが完全にバンドのそれなんだよ」
ヱ :「俺は絶対できないやつ。だから面白い」
シ :「今までのミニマルビートじゃないんだよね」
シ :「あれはバンドやってないと出ない発想だから、あれを聞いた時 一瞬なんだよ!?ってなったよね。びっくりした。ギターが生だっていうのもあって…たぶんみんな普通は歪ませたいんだよ。でも歪ませないところに男気を感じる」
ヱ :「サビの展開もね〜ここからテンション上がるのかな?って思ったら抑えめになってドゥッ、ドゥッドゥッドゥッ…ってさあ。こういうやり方があるんだって…やられたね」
シ :「そうそうオシャレなんですよ。でもなんか懐かしいのよ。昔のロックの感じとかそういう匂いがする。古臭いわけではなくてリバイバル的な、それがすごく良かった」
12. いい感じ (tamadrow remix)
シ :「これはね、10分くらいあっても良かった」
ヱ :「もっと長くて良かったと」
シ :「うん。あれね、短くなくて良かったと思うのよ これはアンビエントに近いなと思った。」
ヱ :「特に指定はしていなくて自由にやってくれと頼んだ。俺のラップは使わなくてもいいですとは言った」
シ :「たまちゃん( tamadrow )の作るのってビートデカくないんですよ。ビートっつかパーカッションもそうなんだけど、どっちかっていうとギターかシンセか。あとはバスドラがズンッて鳴ったりとかあんまりないでしょ?クラップが多いよね」
ヱ :「うんうん」
シ :「どっちかというと俺のほうがビート強いの作るんだよ。だからそこでもうちょっとベース太かったらダブっぽいよなとか思うんだけど、最終的にさ 歌詞の一部の「ダメで〜」ってところをサンプリングしていて、しかもそこを上にあげてないんだよ 下げてやってるからそこがchill waveとかvapor waveの手法に似ていてこれは逆に短いとどうだ…?ってさ」
ヱ :「たしかにこの感じだと長くても全然聞けるよなあ」
シ :「うん。余韻としては5分あっても良かったって感じはする。食後のデザートっぽいもんね」
ヱ :「あと歌詞の切り取り方が面白いよね」
シ :「うん。そして唯一聞きたいのは何ミックスだったんだっていう。ダブにしたかったのか、vaporにしたかったのか、それとも自分のremixをしたらそうなったのか…でもやっぱりシンセの使い方はあの人だなあ…ホワ〜ンとしたパッドとかね。シンセリード使わないところとかシンセベースもあんまり太いの作らないでしょ」
ヱ :「そうだねえ」
シ :「あの人は90年代方面が好きだし、あとエレクトロニカが好きだしね。」
ヱ :「最後の方、空間行き来する細かいシンセとか、っぽいなあって…」
シ :「そうそう」
ヱ :「あと単純にね、シロシビンズとtamadrowをくっつけたかったてのもあるのよ」
シ :「あ、そうなの?」
ヱ :「実はね 笑」
トイレを我慢しているヱスケー
最後に−
シ :「でね、すべての楽曲を聴いて感想とか解説を入れていきましたが…なんでインタビューをしようって言ったかって話なんだけど、やっぱり面白かったからインタビューするわけであって、聞いて欲しいからなんだよね」
ヱ :「うんうん」
シ :「形にして こうやってネットで発信するのは聞いて欲しいからだし、だから解説するし、解説してもらいたいし、自分はこう思ったけど他の人はどうなのかな?ってところもあるし そこだね。」
ヱ :「そうだねえ」
シ :「で、リリース形態はどうなるの?今回はフリーではないんだよね?」
シ :「つまりカッチリとした作品でちゃんとお金取れますよっていうさ、なんていうか考えて作ってるからちゃんと聞いて欲しいよね。そこは」
ヱ :「ちなみにiTunesで12曲450円です」
シ :「この価格で渋る奴とか死ねばいいってぐらい安い」
ヱ : 笑「安く売るのがダサいって人もいるかもしれないけど逆にこの値段でこのくらいのクォリティは出せますっていう提示でもある。」(なぜか強気)
シ :「値段設定聞いてね、なるほど偉いなあと思ったんだけど、俺さ一回アルバムをiTunesで出した時に一曲100円の12曲入りで1200円にしたの。それでも周りに安すぎるって言われたの 自分でもこれだったら自分で買う価値あると思ったんだけど売れなかったんだよ。でもあの、450円であのボリュームでしょ?で35分だから…買う価値ありですよね。本当に」
ヱ : 笑「安いのってかっこいいなって思って、外人がめちゃくちゃクオリティ高いビートを1ドルとかで売ってるのもあるし、身近なところでdizが200円でミニアルバム売ってるのもあって、そもそもこの人たちがこの値段で売ってるのに俺が1000円オーバーで出すなんて変な話ですよ」
シ :「値段相応なことやれよって話でしょ。その服お前に合ってないよってさ。ていうかヱスケーの作品今まで聞いてきて450円で買わないのって嘘なんじゃないのって思う。」
シ :「俺はね、努力の凝縮は450円になっているって思うね」
ヱ「それかっこいいね」
ヱスケー『気持ちをちぎって捨てたくなる』
「聴き手の心に鋭く刺さる慎ましい人間の主張、日常、感情。」 by LARGE IRON
2018.01.07
リリース
▷アルバム価格
【12曲 / 36分/¥450】
---それに合わせて
アルバムをより楽しむ為の補完データをフリーDLで出したのでこちらも是非。
アルバムを聞く前の体験版としても使えるかと…
[収録内容]
・『気持ちをちぎって捨てたくなる』歌詞
・『気持ちをちぎって捨てたくなる』レビュー
・『気持ちをちぎって捨てたくなる』印刷用ジャケットデータ
・帰り道 (作詞 : MC松島ver.)mp3
・いい感じ feat. mukuchi (inst)mp3
・参加者名簿
・アートワーク
書き起こした文字を見て自身の口の悪さに気付くシロシビンズ
昨日知人とやったインタビュー(っていうか対談)の修正前の書き起こし見てて、自分の口の悪さ、SNSでもまだ控えめだったんだなと思いました。シラフなのに口悪すぎてすげえ。いや、冗談交じりで笑いながら言ってるんだけど。序盤で「ブス」とか言い出してるし。
— シロくんさん (@shiroshibins) 2017年12月17日
-聞いた人-
シロシビンズ
北海道の音楽家、タブラ奏者。
2010年にバンドとして活動開始。現在はバンド名「シロシビンズ」を個人名にしイラストや漫画、デザインまでその全てを独自のセンスで制作。様々なジャンルに精通し唯一無二の作品を作り続けている。ヱスケーとは大学時代にtamadrowを通じて知り合い 以来度々活動を共にする。今回の対談で一年ぶりに再会した
-聞かれた人-
ヱスケー
2010年に地元の友人mgmとK.H.BROTHERSを結成。現在はdiz、メガネが加入し4人での活動に
今年MC松島主宰の音楽レーベル トウキョウトガリネズミに加入。今回個人名義では初となる公式リリースとなるアルバム『気持ちをちぎって捨てたくなる』を制作した。チープなサウンドとノイズが好き 喋るのが苦手